100:お香を焚く_5

大川素濃は最初、リフォームするつもりはありませんでした。帝苑マンションは内装付きだったからです。しかし、後に大川勝から送られてきた設計図があまりにも素晴らしく、リフォーム費用もそれほどかからないため、自分の好みに合わせることにしました。

そこで、小林強輝と相談した後、小林綾乃と一緒にリフォームすることに決めました。

小林桂代はその日に家を購入して支払いを済ませた後、帝苑マンションには行っていませんでしたが、大川素濃の話を聞いて、「いいわね」とうなずきました。

そして、二人は車で帝苑マンションへ向かいました。

花月マンションと帝苑マンションは一枚の壁を隔てただけでした。

そのため。

花月マンションに引っ越してから、城井沙織の一番の楽しみは帝苑マンションの正門付近をうろつくことでした。

帝苑マンションに住む人々は皆、裕福か身分の高い人々でしたから。

しかし残念なことに。

彼女は門の前で何日もうろついていましたが、お金持ちの二世と知り合うことはできませんでした。

これらの金持ち二世は高級車で送り迎えされていたからです。

彼女は世界限定の高級車も見かけました。

1億円もする類のものです。

そのとき、一台の白い車が城井沙織の視界に入ってきました。

車のマークを確認すると、城井沙織は眉をひそめました。

これは...

シトロエン?

数百万円のシトロエン?

彼女は帝苑マンションでこんな安い車を見たことがありませんでした。

家政婦が買い物に行くのにも数千万円のアウディを使うのに...

シトロエンなんて何なの?

なぜか。

城井沙織はすぐに大川素濃のことを思い出しました。

大川素濃がちょうどこの種の車に乗っていたからです。

運転しているのは大川素濃?

そう考えると、城井沙織は目を細めて、特にナンバープレートに注目しました。

869で終わっています。

もし間違っていなければ、大川素濃の車のナンバープレートの最後の3桁も869でした...

運転しているのが大川素濃だと気づいて、城井沙織は目を見開きました。

彼らは帝苑マンションで何をするの?

まさか、小林桂代と大川素濃は本当に帝苑マンションで部屋を買ったの?

結局、帝苑マンションは登録された所有者の車しか入れないのだから。

いいえ!

そんなはずない!