おばあさんが降りた後、山下おばあさんは席から立ち上がり、先ほど席を譲った若者に向かって言いました。「若いの、席をお返しするわ。今度このような人に会ったら、遠慮なんかしないでね!」
「ありがとうございます。」若者は本当に参りました。
山下おばあさんは小林綾乃の隣に座り直しました。
小林綾乃は親指を立てて、「すごいですね!」と言いました。
正直に言うと、先ほどの対応には本当に驚かされました。
山下おばあさんがこんな反撃をするとは全く予想していませんでした。
それを聞いて、山下おばあさんは得意げな顔をして、「暴れることなら、私は若い頃天下無敵だったのよ」と言いました。
山下おばあさんは是非をわきまえない人ではありません。
相手が道理を通せば、彼女も道理で対応します。
もし相手が理不尽なら、彼女はもっと理不尽になれるのです。
30分後。
バスが停留所に着きました。
小林綾乃は山下おばあさんを支えながら降りました。
山下おばあさんが言っていた焼き肉屋は住宅街の中にありました。
店は小さくて見つけにくいものの、老舗なので味は確かに良く、まだ午後4時過ぎなのに既に満席でした。
幸い二人は急いでいなかったので、お茶を飲みながら席が空くのを待ちました。
約10分後、店員に店内に案内されました。
小林綾乃と山下おばあさんは二人とも肉食系でした。
そのため、たくさんの肉を注文しました。
二人は焼きながら食べました。
老若二人の和やかな光景と絶え間ない笑い声に、隣のテーブルの人々が振り返って見ていました。
**
小林綾乃から夜は帰って来ないとメッセージが来たので、小林桂代は家に戻って料理を作らず、郊外の店舗に行って改装の進捗を確認することにしました。
大川素濃も一緒に行きました。
二人が到着したとき、大川勝は作業員たちに弁当を配っていました。小林桂代と大川素濃を見て、幻覚かと思い、一瞬呆然としてから驚いて言いました。「桂代お姉さん、お姉さん!来てくれたんですね!」
大川素濃は笑って言いました。「お姉さんと一緒に改装の進み具合を見に来たのよ。」
進度を上げるため、大川勝はオーナーとして今日も自ら多くの作業をこなし、今は服に白い石灰がついていました。「今晩も残業すれば、明後日には全部完成できて、その次の日には家具や装飾品を入れられます。」