102:顔面崩壊、志村文礼は呆然となった_6

小林綾乃の目には信じられない表情が浮かんでいた。

大谷仙依も少し呆然としていた。

小林綾乃は大谷仙依を見向きもせず、ティッシュを取り出して口元を拭いながら、テーブルに座る三人に向かって言った。「食べ終わった?終わったなら行きましょう」

三人は誰も何も言わず、とても協力的に立ち上がって小林綾乃の後に続いた。

数歩歩いた後。

松本楠敬は小林綾乃の腕を引き、声を潜めて言った。「手伝おうか?」

小林綾乃は一瞬固まった。

松本楠敬は大谷仙依と大橋然斗が何故小林綾乃にあんな意味不明な話をしたのかは分からなかったが、この二人が善意で来たわけではないことは分かっていた。

そう言って、松本楠敬は付け加えた。「僕は跆拳道の黒帯だから」

一人で三人を相手にするのは問題ない。

これを聞いて、渡辺麗希は松本楠敬を見上げた。