秋山春樹は少し焦っていた。
これはどういう状況なのか?
小林綾乃のプレゼントは明らかに自分のために用意されたはずなのに...
なぜずっと言い出さないのか?
彼女は恥ずかしがっているのか?
それとも人が多くて照れているのか?後で個人的に渡すつもりなのか?
そのとき。
一橋啓子の視線が小林綾乃が持っている袋に落ち、興味深そうに尋ねた:「小林様、それは何ですか?」
聞いた!
聞いた!
一橋啓子がついに聞いた!
その言葉を聞いて、秋山春樹はほっと胸をなでおろした。
これから。
小林綾乃の答えを待つだけでいい。
一橋啓子がここまで話を振ってくれたのだから、小林綾乃はきっとその流れに乗って、プレゼントを渡してくれるはずだ。
そうなれば。
学校中の男子が知ることになる、彼らの女神が自分にプレゼントをくれたことを。