104:自業自得_6

この言葉を聞いて、渡辺麗希も少し残念に思った。

小林綾乃は一橋啓子を見て、「おばさんは以前、美人亭の実店舗で登録されていましたよね?」

「はい」一橋啓子は頷いた。

小林綾乃は続けて言った:「それなら簡単です。明日の午後、美人亭南通り本店に行って、店員に状況を説明すれば、会員カードを復活できますよ」

「本当ですか?」一橋啓子は非常に驚いた。

「本当です」

一橋啓子は眉をしかめて、「でも、母が以前美人亭の店員に聞いたとき、できないと言われたんです」

最も重要なのは、一橋お母さんは一度だけでなく何度も行ったことがあるということだ!

美人亭からの返事はいつも同じだった。

小林綾乃は目を細めて、「大丈夫です。私が今晩本店の店長に話をしておきますから、きっとおばさんのカードを復活させてくれますよ」

「小林美人、美人亭の店長を知っているの?」

「まあね」小林綾乃は淡々と答えた。

まあね?

それは間違いなく知っているということだ。

この答えを聞いて、一橋啓子は狂喜した。「小林美人、ありがとうございます!」

「どういたしまして」小林綾乃は淡々と答えた。

秋山春樹は数人の後ろをただついて歩いていた。

何の理由もなく。

小林綾乃はなぜ一橋啓子を助けるのだろう?

一橋啓子と小林綾乃には何の関係もないのに。

小林綾乃は一橋啓子を通じて自分との距離を縮めようとしているのだろうか?

結局のところ。

一橋啓子は彼の親友なのだから。

女の子の世界は本当に複雑だな。

回りくどい。

小林綾乃は明らかに自分のことが好きなのに、遠回りばかりしている。

こんなのおもしろいのか?

秋山春樹は各自のクラスに着く前に、小林綾乃がスキンケア用品を自分にくれると思っていた。

しかし、そうはならなかった。

分かれ道に着いたとき、小林綾乃と渡辺麗希は一橋啓子にただ軽くさよならを言っただけだった。

最初から最後まで。

小林綾乃は自分を一度も見ようとしなかった。

これはどういうことだ?

秋山春樹は少し慌てた。

どういうわけか、中村おばあさんの言葉を思い出してしまった...

もしかして?

もしかして小林綾乃は本当に自分のことが好きではないのか?

いや。

そんなはずはない。