121：学校祭_3

「6倍になったよ」と一橋景吾は説明した。

山下言野：「...」まあ、今どきの若者は理解できない。

洗車が終わると、一橋景吾はまず山下言野を見てから言った：「小林、どうせもう遅いし、夜は外で食べない？」

小林綾乃は一橋景吾が彼女に監視装置を取り付けたのではないかと疑った。

なぜなら、小林桂代がたった今LINEで、今夜は帰って来られないから叔父の家で食事するようにと言ってきたばかりだったから。

「いいよ」小林綾乃は頷いた。「焼肉を食べに行こうよ？」

彼女はずっと食べていなかった。

少し食べたくなっていた。

焼肉？

一橋景吾はすぐには頷かなかった。潔癖症のある人は焼肉を食べないからだ！

そう考えて、一橋景吾は山下言野を見た。「兄貴、焼肉行く？」

「いいよ」山下言野は軽く頷いた。

一橋景吾は目を細めた。

ツツツ！

小林のためなら、兄貴はますます底なしになってきたな。

以前の山下言野は焼肉に対して完全に鼻で笑うような態度だったのに！

山下言野の返事を得て、一橋景吾は小林綾乃の方を向いた。「小林、どこの焼肉が美味しいか知ってる？」

「知ってる」小林綾乃は軽く頷いた。「でも、ちょっと遠いから車で行かないといけない」

「問題ない、じゃあ車で行こう」

山下言野の車は修理工場の横に停まっていた。

あの黒いフォルクスワーゲンだ。

運転するのは山下言野で、小林綾乃はナビモードにした携帯を持って助手席に座った。

一橋景吾は後部座席に座った。

車内が少し蒸し暑く感じたので、小林綾乃は上着を脱いだ。そのとき、彼女のポケットから2枚の紙が落ちて、ちょうど後部座席に舞い落ちた。一橋景吾がそれを拾い上げて、「小林、何か落としたよ」

小林綾乃は振り返って見た。「あれ？もういらないよ」

いらない？

一橋景吾は好奇心を持って尋ねた：「これ何？」

どうしていらないと言うんだろう？

小林綾乃は言った：「学校の創立記念日の保護者入場券よ。母が明日行けないから」

創立記念日の入場券？

それを聞いて、一橋景吾は手の中の入場券をじっくり見た。

しばらくして、彼は続けて尋ねた：「小林、何か出し物あるの？」

「一つあるよ」小林綾乃は答えた。

一つある？