この言葉を聞いて、小林桂美の顔は興奮の色で満ちていた。
同意した!
渡辺さんが実際に同意したのだ。
隣にいた城井沙織も非常に興奮していた。彼女は今や渡辺家のお嬢様と親友になった後のシーンを想像し始めていた。
その時には、渡辺家のお嬢様の周りの友達を全て自分の友達にするつもりだった。
できれば何人かの取り巻きも作りたかった。
金持ちの二世に取り入れられるのと、普通の人に取り入れられるのとは全く違うものだ。
金持ちの二世の取り巻きは彼女のために多くのことをしてくれるだろう。
取り巻きでさえ金持ちの二世なら、正式な彼氏は絶対に慎重に選ばなければならない。
そう考えると、城井沙織は目を細め、心の中は優越感でいっぱいだった。
数人が並んで歩いていた。
その間、城井沙織は何人かの知り合いに出会った。彼女はわざと山本世月とすごく親しいふりをして、みんなに城井沙織とこのブランド品で身を固めた貴婦人がどんな関係なのかと推測させた。
クラスメイトたちの羨望のまなざしを見て、城井沙織の顔には得意げな表情が浮かんでいた。
彼らの身分では、おそらく永遠に山本世月のような貴婦人にこれほど近づくことはできないだろう。
城井沙織はいつも人をうまく喜ばせるのが得意で、ほんの数言葉で山本世月を笑顔にさせた。
しばらくして、城井沙織は続けて言った:「おばさま、お嬢さんの成績はきっとすごくいいんでしょうね?」
渡辺麗希の成績について話すと、山本世月の顔には優越感が満ちていた。「実は私たちの状況では、娘は一生懸命勉強しなくても幸せに暮らせるのですが、この子は勉強が好きで、毎回のテストでクラスのトップ5に入るんですよ。」
クラスのトップ5なんて大したことない!
城井沙織はクラス2位を取ったこともあるのに!
普段なら、小林桂美は必ず城井沙織がいかに優秀かを惜しみなく自慢するところだが、今は相手によって態度を変えることをよく知っていた。
山本世月のような貴婦人の前では当然、城井沙織の優秀さを自慢することはできなかった。