第49章 顔面に投げつける

一行は車でY市第二病院に向かい、藤原春樹の妻がいる病室へと直行した。

病室の外の廊下に着くと、中から言い争う声が聞こえてきた。

「あまりにもひどすぎます。病院だからって好き勝手していいんですか?私たちが先に予約していたのに、やっと順番が来たのに、角膜を他の人に渡すなんて!ああ、わかりました。他の人から袖の下でももらったんでしょう?だから私たちの角膜を他の人に回したんですね!私にだってお金はあります。今はお金があるんです。ここに五萬元あります。足りなければなんとかしますから、先に私の息子を治療してください!」

中から藤原春樹の声が聞こえ、興奮した様子で焦りが感じられた。

「先ほども申し上げた通り、角膜は既に他の患者さんに移植されており、現在手術室で手術中です。当院は透明性を重視しており、袖の下など受け取りません。誹謗中傷はお控えください。さもないと法的措置を取らせていただきます。支払いが遅れたのはあなたの責任で、当院には何の落ち度もありません。もういい加減にしてください。今日どれだけ騒いでも、角膜はもうないのです」

お決まりの言葉が滑らかに出てきて、態度は冷たく、多少見下すような口調だった。

「嘘つき!さっき支払いに行った時、まだ手術は始まってなかったはずです。絶対に裏で何かあったんでしょう!病院は人を治療する場所じゃないんですか?こんなことをして、天罰が当たらないと思ってるんですか!」

藤原春樹は感情を抑えきれなくなっていた。今日は既に多くのことを経験し、杉本瑠璃が責任を追及しなかったのが幸いだった。さもなければ、今頃は刑務所にいたはずだ。

仲間たちと命がけでお金を集め、やっと希望が見えたと思ったのに、病院にその希望を完全に断ち切られ、藤原春樹は耐えきれず、崩壊寸前だった。

「言っておきますが、これ以上騒ぐのはやめてください。他の患者さんもいるんです。休息の邪魔をしないでください。忠告を聞かないなら、警備員を呼びますよ。はっ、手術代が払えないなら病床を占有するべきじゃない。トイレに座ったまま用を足さないのと同じですよ!」

医師は強い口調で、藤原春樹にもしこれ以上騒ぐなら、病院から追い出すと明確に告げた。

「くそっ、お前なんて医者かよ!そんな言葉が言えるのか、ぶん殴られたいのかてめえ!」