第48章 杉本瑠璃の思惑

井上部長の指示のもと、数人の警官が痙攣している石川賢明を取り押さえ、手錠をかけました。他の者たちも逮捕されました。

日向あきらと藤原春樹たちはずっとそこに立ち尽くし、緊張した面持ちで何をすべきか分からない様子でした。

目の鋭い井上部長は日向あきらたちを見つけ、杉本瑠璃に向かって尋ねました。「杉本さん、彼らもあなたを誘拐した犯人たちですか?」

井上部長の言葉が終わるや否や、日向あきらたちの背筋が一斉にピンと伸びました。日向あきらが一歩前に踏み出した瞬間、杉本瑠璃は淡々と言いました。「違います。彼らは人を救いに来たのです。彼らがいなければ、今地面に倒れているのは私と三島様だったかもしれません。」

日向あきらの足が止まり、驚いて杉本瑠璃を見つめました。聞き間違いではないのか、杉本瑠璃は彼らを通報せず、むしろ救助者だと言ったのです。

一瞬、日向あきらは杉本瑠璃の真意が分かりませんでしたが、一つだけ確かなことがありました。彼と仲間たちは、杉本瑠璃に大きな恩を受けたのです。

杉本瑠璃の一言が、彼らの人生を変えたのです。

日向あきらも藤原春樹たちも、心の中で大きな衝撃を受けました。藤原春樹は目に涙を浮かべ、恥ずかしくなって顔を背けました。

井上部長も驚きました。彼から見れば、日向あきらたちは共犯に見えたのに、まさか救助に来た人たちだったとは。

すぐに井上部長は日向あきらの前に歩み寄り、自ら手を差し出しました。日向あきらは一瞬戸惑いましたが、井上部長と握手を交わしました。

「このたびは本当にありがとうございました。最近では、あなたがたのような勇気ある市民は少なくなってきています。必ず模範市民賞の申請をさせていただきます!」

日向あきらは顔が火照るように赤くなり、真実を言い出せず、ただ「いいえ、そんな、私たちは大したことはしていません」と言うしかありませんでした。

井上部長は当然、日向あきらが謙遜していると思いました。冗談じゃない、この人たちは杉本瑠璃と三島様を救ったのだ。大きな褒賞を出さなければ、三島様の顔が立たないではないか。

だから、この褒賞は必ず出さなければならない。しかも、派手に、そして重々しく!