第48章 杉本瑠璃の思惑

井上部長の指示のもと、数人の警官が痙攣している石川賢明を取り押さえ、手錠をかけました。他の者たちも逮捕されました。

日向あきらと藤原春樹たちはずっとそこに立ち尽くし、緊張した面持ちで何をすべきか分からない様子でした。

目の鋭い井上部長は日向あきらたちを見つけ、杉本瑠璃に向かって尋ねました。「杉本さん、彼らもあなたを誘拐した犯人たちですか?」

井上部長の言葉が終わるや否や、日向あきらたちの背筋が一斉にピンと伸びました。日向あきらが一歩前に踏み出した瞬間、杉本瑠璃は淡々と言いました。「違います。彼らは人を救いに来たのです。彼らがいなければ、今地面に倒れているのは私と三島様だったかもしれません。」

日向あきらの足が止まり、驚いて杉本瑠璃を見つめました。聞き間違いではないのか、杉本瑠璃は彼らを通報せず、むしろ救助者だと言ったのです。