「皆さんが戻ってきたということは、先ほどの決断を後悔して、石川社長を助けたいと思い直したのですか?」
杉本瑠璃は淡々とした口調で、何をしようとしているのか読み取れなかった。
日向あきらは一瞬黙り込み、再び目を上げると、その瞳には警戒心が宿っていた。
「確かに私たちはあなたを誘拐しましたが、私たちは悪人ではありません。先ほどそのまま立ち去ったのは、確かに間違った判断でした。もし私が、あなたたちを救うために戻ってきたと言ったら、信じていただけますか?」
石川賢明と彼が連れてきた者たちは杉本瑠璃を制圧できず、むしろ彼女に痛めつけられた。もし杉本瑠璃が警察に通報し、かつ彼らが彼女を傷つけたくないとなれば、誘拐罪で彼らは大変なことになるだろう。
そのため、日向あきらは杉本瑠璃が決断を下す前に、彼女と話し合うことにした。