第47章 救援が到着

「皆さんが戻ってきたということは、先ほどの決断を後悔して、石川社長を助けたいと思い直したのですか?」

杉本瑠璃は淡々とした口調で、何をしようとしているのか読み取れなかった。

日向あきらは一瞬黙り込み、再び目を上げると、その瞳には警戒心が宿っていた。

「確かに私たちはあなたを誘拐しましたが、私たちは悪人ではありません。先ほどそのまま立ち去ったのは、確かに間違った判断でした。もし私が、あなたたちを救うために戻ってきたと言ったら、信じていただけますか?」

石川賢明と彼が連れてきた者たちは杉本瑠璃を制圧できず、むしろ彼女に痛めつけられた。もし杉本瑠璃が警察に通報し、かつ彼らが彼女を傷つけたくないとなれば、誘拐罪で彼らは大変なことになるだろう。

そのため、日向あきらは杉本瑠璃が決断を下す前に、彼女と話し合うことにした。

もしかしたら...転機があるかもしれない。

藤原春樹も焦って、急いで口を挟んだ。「あの、杉本さん、私たちは本当に悪人ではないんです。石川賢明は、ただあなたをここに連れてくるだけでいいと言っただけで、妻と子供が手術を待っているのに、お金がなかったから、こんなことをしたんです!」

彼らの状況は、杉本瑠璃はすでに読み取っていた。

藤原春樹は嘘をついていなかった。彼の妻と子供は今病院で、手術代を待っている。本来なら彼らはすでにお金を持って病院に向かっていたが、途中で皆の心が落ち着かなくなった。

最後に藤原春樹は膝を打って、このお金で妻子の治療をしても、たとえ治ったとしても心が安まらないだろうと言った。

藤原春樹がそう言うと、他の数人も同意し、急いで戻ってきた。まだ間に合うことを願って。

間に合わないかもしれないと思っていたが、中に入ってみると、その光景に呆然とした。

杉本瑠璃は頷き、藤原春樹と日向あきらを見て、「それで?」と言った。

藤原春樹は一瞬戸惑い、口を開いたが、言葉が喉に詰まった。

そうだ。

彼らは杉本瑠璃を傷つけたくなかったが、確かに彼女を連れてきて、そのまま立ち去ったのだ。

もし別の人だったら、彼らが戻ってきても、今頃は石川賢明に顔を傷つけられていただろう。

そう思うと、許しを請う言葉が、どうしても出てこなかった。