第46章 厚意を断れない

自分の以前の暴力を思い出し、杉本瑠璃は少し気まずくなった。

「ふむ、なかなかいい感じだね。君もやってみない?」

杉本瑠璃は軽く咳払いをして、この状況の気まずさを少しごまかした。

杉本瑠璃は何気なく言っただけだったのに、三島悠羽は微笑みながら立ち上がり、まるで闇の支配者のように、地面に散らばった「残骸」を跨いで、杉本瑠璃の側まで来た。

杉本瑠璃が反応する間もなく、三島悠羽は手を伸ばし、杉本瑠璃は手首に冷たさを感じた。下を向くと、その美しく長い指が、まるで芸術品のように、彼女の手首を優しく掴んでいるのが見えた。

なぜか、心臓が一拍飛んだ。

三島悠羽は杉本瑠璃の手首の針入れから、適当に銀針を一本抜き取り、しゃがみ込んで、倒れている石川賢明を面白そうに見つめた。

片手で銀針を持ち、もう片方の手で顎を撫でながら、軽やかに言った。「杉本さんの熱心なお誘いですから、僕も断るわけにはいきませんね。試させていただきましょう」

石川賢明はそこに横たわったまま、三島悠羽の言葉を聞いて、喉に血を詰まらせそうになった。

一方、杉本瑠璃はそれを聞いて顔を赤らめた。自分がいつ熱心に誘ったというのだろう?

三島悠羽は銀針を持ったまましばらく考え込んでいた。どこに針を刺すのが良いか考えているようだった。

石川賢明は苦しい立場に置かれていた。見ればわかるように、三島悠羽と杉本瑠璃は全く違う。杉本瑠璃は医術を学んだ人で、針を持つ手つきも専門的に見えた。

対して三島悠羽は、長考しても針を刺せず、明らかに素人だった!

石川賢明は泣きそうになった。横一刀竪一刀、どう刺してもいいから、早く刺してくれ!

このように躊躇されては、心の準備もできない。

これは死ぬことがわかっているなら、一発で撃ち殺されるのも救いだが、錆びた刀で少しずつ切られるのは、まさに拷問だ。

だから、死の直前が最も苦しいのだ。

「以前、医書で読んだ変わった方法を、今日は君で試してみようかな」

三島悠羽の言葉が終わるや否や、手の針が石川賢明に向かって刺さった。石川賢明は覚悟を決めていたが、三島悠羽の針は素早く、そしてそれほど痛くなかった。

石川賢明は目を少し開け、隙間から三島悠羽がいつの間にか立ち上がり、銀針を杉本瑠璃に返しているのを見た。

ふう!

本当に命拾いした!