第45章 石川賢明への懲罰

杉本瑠璃は突然身を屈め、半蹲みになって石川賢明と目線を合わせた。冷たい瞳には、少し慵懶な戯れの色が宿っていた。

「さて……どう処置するのがいいかしら?」

引き延ばすような声色で、聞いた者の心を不安定にさせる響きだった。

杉本瑠璃の体内に潜む邪悪な因子が刺激されたかのように、これまでの忍耐は決して性格が良いからではなく、爆発の時が来ていなかっただけだった。

石川賢明が彼女を誘拐しようとし、さらには顔を傷つけて殺そうとまで考えていたことは、彼が完全に道を踏み外したことを示していた。単なる小人物の行為を超えて、完全な悪人となっていたのだ。

今日、彼を懲らしめておかなければ、いずれ石川賢明が彼女の家族に手を出すかもしれない。そうなれば取り返しがつかなくなる。

石川賢明のような人間に対して、杉本瑠璃は容赦するつもりはなかった。

「お金を出すから、いくらでも出すから、私を傷つけないでくれ。何でも話し合いで解決できる」

まさに、金しか残っていない人間の言葉だった。

石川賢明はまさにそういう人間で、彼の目には金こそが最も重要で、金で全てが解決できると信じていた。

残念ながら、杉本瑠璃にはそんな手は通用しなかった。

「お金なら十分あるわ。そうね、最近医術を学んでいるんだけど、残念ながらまだ適当な練習相手が見つからなくて。石川社長、私の手伝いをしてくれないかしら?」

石川賢明は杉本瑠璃が何をしようとしているのか分からず、反射的に首を振った。首は波打つように、止まることなく揺れ続けた。

「ふふ……あまり乗り気ではないようね。でも構わないわ。別にあなたの意見を聞きに来たわけじゃないから、ただ伝えただけよ」

わがまま、そして横暴!

言い終わるや否や、石川賢明の目の前が一瞬揺れ、首筋に痛みを感じた。すると全身が痺れ、硬直したまま座り込んでしまい、話すことさえ困難になった。

この時、石川賢明は杉本瑠璃を見る目が恐怖に満ちていた。彼にとって、目の前の杉本瑠璃は人間ではなく、悪魔のように思えた。

手も動かせず、口も利けず、恐怖で冷や汗を流している石川賢明を見て、杉本瑠璃は上機嫌で手首の針包みを開いた。手首の針包みは吉川先生からもらったもので、医者として必要な医療器具は常に携帯しておくべきだと言われたものだった。