第61章 翡翠取引大会

西区のさらに西側といえば、後世の原西開発区ではないか?

杉本瑠璃はこのニュースを聞いて、急に元気になった。原西開発区はY市の重点開発地域で、後にY市は経済の重心を原西開発区に移し、市役所さえもそちらに移転したのだ。

政府が原西開発区をいかに重視していたかが分かる。

この時期の原西開発区は、まだ開発されていない荒れ地だった。もし先機を制することができれば、本当に足場を固めることができるだろう。

「あちらの状況をよく調べてください。私は会社を設立する予定ですが、今はまだ時期が熟していません。日向さん、あなたは会計士出身なので、お金は一旦あなたが管理してください。皆さんの日常経費は、以前の給料の倍額を月給として支給します。後で会社が設立されたら、給与を改めて設定しましょう。」

藤原春樹たちは話を聞いて、少し呆然としていた。目を何度か瞬かせ、聞き間違えたのではないかと思った。

給料が倍?自分で会社を設立?

杉本瑠璃のような学生が?そして彼らのような普通の人たちで?

少し子供じみているのではないか?

しかし日向あきらは杉本瑠璃をじっと長い間見つめ、しばらくしてから重々しくうなずいた。「杉本さん、ご安心ください。お任せいただいたことは、しっかりとやらせていただきます。」

他の人と比べて、日向あきらはより先見の明があった。あの日の出来事から見ると、杉本瑠璃は子供ではあるが、大事を成す度量と決断力は十分にあった。それに三島様もいる……

日向あきらは、杉本瑠璃が自分で会社を設立することは、決して夢物語ではないと感じていた。

そして、これは彼らのような人々にとって、チャンスであり、人生を変えるチャンスでもあった。

日向あきらの目に光るものを見て、杉本瑠璃は、この仕事を日向あきらに任せるのは賢明な選択だと分かった。

日向あきらは義理堅く、決断力と先見の明があり、会計士として緻密な思考を持っていた。最も重要なのは、彼にはチャンスが不足していたことだ。

杉本瑠璃が彼にチャンスを提供すれば、日向あきらは必ずそれを大切にし、より重視するだろう。杉本瑠璃が必要としているのは、まさに日向あきらのような人材だった。

今日の目的は達成された。彼女は分かっていた。日向あきらさえ説得できれば、他の人々も同様についてくるだろう。残りの仕事は日向あきらに任せれば良い。