第85章 遺伝子が良い、仕方がない

「はい、勝負の規定通り、山本颯真の持っている翡翠は全て杉本さんのものになります」

副会長は山本颯真の行為を軽蔑していたので、この判断を特に早く下した。

山本颯真はそれを聞くと、突然激怒して叫んだ。「お前ら、よくも!俺の翡翠に手を出す奴がいたら承知しないぞ。杉本瑠璃、死にたくなければ、やめておけ!」

山本颯真はついに暴虐な性格を露わにした。これは彼の全財産ではないものの、今回の勝負のために大金を投じたと言える。

原石の購入に数千万円を費やし、さらに高額で多くの賭け原石も買い込んでいた。今になってこれらの翡翠が全て杉本瑠璃に取られるなんて、彼が納得するはずがない。

「山本颯真、勝負の規則によれば、これらの翡翠は確かに杉本瑠璃さんのものです。あなたが何者であろうと、どんな後ろ盾があろうと、我々の大会で負けた以上、天皇陛下が来られても規則は守らなければなりません!もし騒ぎを起こすなら、追い出させていただきますよ!それに、三島グループの三島様からも既に電話があり、状況は把握されています。三島様は、負けを認めない者は彼に逆らうことになると仰っています。どうです?三島様に逆らうつもりですか?」

副会長も気性と地位のある人物だ。山本颯真は最初に大会関係者に賄賂を贈り、今度は負けを認めようとしない。彼は山本颯真のことを以前から快く思っていなかった。

周りの人々は、このような山本颯真を見て、次々と議論を始め、言葉の端々に軽蔑の念が込められていた。

「ふん、負けを認められないなら人と賭けなどするべきではない。恥知らずだ」

「そうだよ。こっそり手を使うなんて。幸い大会の関係者が信頼できる人たちで良かった。でなければ本当に彼の思い通りになっていたところだ」

「みんな気をつけましょう。今後は山本颯真との付き合いは避けた方がいい。こんな品性の悪い、下劣な行為をする人間は、ごろつき以下だ」

「その通り。帰ったら同業者に必ず警告しなければ。同業者が山本颯真の行為を知らずに、後で騙されでもしたら大変だ」

山本颯真は、人々が遠慮なく目の前で彼のことを議論し、散々に貶していることを聞いて、顔が燃えるように熱くなった。面と向かって非難されるのは、辛いどころの話ではない。