第93章 強気な杉本瑠璃

北澤亮太の教科書が投げ出されたのは、彼が反応できなかったからだが、杉本瑠璃の教科書は、高橋智樹が掴んだ時には、すでに杉本瑠璃が片手で押さえていた。

一見軽やかな動きで、力が入っているようには見えなかったが、普段から力の強い高橋智樹でさえ、教科書を動かすことができなかった。

杉本瑠璃の教科書は、彼女に押さえられたまま微動だにせず、高橋智樹が掴んで皺になってさえも、杉本瑠璃の手から振り払うことはできなかった。

これには高橋智樹も驚き、杉本瑠璃を見る目つきに探るような色が加わった。

自分がどれだけの力を使ったか、彼自身よく分かっていた。教科書を押さえ込む力は、彼の力の数倍なければ、このようなことは不可能なはずだった。

彼が少し苦しそうになっているのに、杉本瑠璃は表情一つ変えず、まったく苦しそうな様子を見せなかった。