「新入り、そこはお前の席じゃないぞ。ルールも知らないのか!」
北澤亮太が座ろうとする前に、誰かが声を上げた。その口調から、善意のものではないことは明らかだった。
北澤亮太は体を硬くしたまま、数秒間その場で立ち止まり、最後に眼鏡を押し上げて、背筋を伸ばし、別の席へと向かった。
しかし、また座ろうとした瞬間、すぐに別の声が上がった。「メガネ君、そこの席も座れる場所じゃないぞ。」
北澤亮太は話者を見上げた。その人物は無表情で、まるで事実を述べているだけのようだった。
数秒の沈黙の後、北澤亮太は再び背筋を伸ばし、「では、空いている席はどこですか?」と尋ねた。
1組の生徒たちは北澤亮太を見つめ、一斉に「全部埋まってる」と答えた。
ふん、杉本瑠璃は皆を見渡した。面白いことになってきたな。どうやら1組の生徒たちは、彼らに席を与えるつもりはないようだ。