第99章 大型公演

鈴木てんいちは今、とても安堵していた。北澤亮太に体力を消耗させられたおかげで、さもなければ今そこに横たわっているのは自分だったかもしれないと思ったからだ。

杉本瑠璃は経済学部を離れた後、直接柊木先生の研究室に向かった。

研究室に入ると、柊木先生の他に、心臓病を患っている渡辺先生もいた。

杉本瑠璃が用件を伝えると、柊木先生は快く今学期の教材を渡してくれた。ただし、杉本瑠璃が帰ろうとした時、柊木先生は何かを思い出したように彼女を呼び止めた。

「杉本瑠璃さん、ちょっと待って。」

杉本瑠璃は教材の束を抱えたまま振り返って尋ねた。「柊木先生、何かありますか?」

柊木先生は渡辺先生を一瞥してから続けた。「実はね、渡辺先生の状態については、あなたもご存知でしょう。この間、多くの名医に診てもらい、学校の医学部長にも相談したんです。でも、ほとんどの医師が手術が必要だと言っています。