第99章 大型公演

鈴木てんいちは今、とても安堵していた。北澤亮太に体力を消耗させられたおかげで、さもなければ今そこに横たわっているのは自分だったかもしれないと思ったからだ。

杉本瑠璃は経済学部を離れた後、直接柊木先生の研究室に向かった。

研究室に入ると、柊木先生の他に、心臓病を患っている渡辺先生もいた。

杉本瑠璃が用件を伝えると、柊木先生は快く今学期の教材を渡してくれた。ただし、杉本瑠璃が帰ろうとした時、柊木先生は何かを思い出したように彼女を呼び止めた。

「杉本瑠璃さん、ちょっと待って。」

杉本瑠璃は教材の束を抱えたまま振り返って尋ねた。「柊木先生、何かありますか?」

柊木先生は渡辺先生を一瞥してから続けた。「実はね、渡辺先生の状態については、あなたもご存知でしょう。この間、多くの名医に診てもらい、学校の医学部長にも相談したんです。でも、ほとんどの医師が手術が必要だと言っています。

ご存知の通り、手術にはリスクが伴います。渡辺先生とご家族は手術を望んでいないので...漢方医学を試してみたいと思っています。」

渡辺先生も加わり、少し困った様子で言った。「薬草堂の吉川先生は現代の吉益東洞名医と呼ばれていると聞いています。私もずっと吉川先生に診てもらいたいと思っていました。ただ、吉川先生は閉関されているようで...」

杉本瑠璃はようやく理解した。渡辺先生は杉本瑠璃が吉川先生の弟子だと知っていて、杉本瑠璃を通じて吉川先生に診てもらいたいと考えていたのだ。

杉本瑠璃が少し躊躇して即答しないのを見て、渡辺先生は急いで付け加えた。「吉川先生がお忙しいのは分かっています。診察してもらうのも簡単ではないでしょう。ただ、この希望を諦めたくなくて、もし本当に無理なら...」

「渡辺先生、診察するだけのことです。師匠はそれほど気難しい人ではありません。ただ、最近は確かに閉関中で、私も長く会っていません。こうしましょう。師匠が閉関を終えたら、渡辺先生に連絡して診察してもらいましょう。いかがでしょうか?」

渡辺先生は目を輝かせ、すぐに答えた。「はい、はい、それでは杉本くんの連絡を待っています。」

杉本瑠璃は頷き、研究室を出ようとした時、柊木先生が再び彼女を呼び止めた。

「杉本瑠璃さん、もう少し待って。」