「行きましょう。まずは店舗を見に行きましょう」
翡翠店を開くからには、店舗の場所選びは重要だ。日向あきらたちのおかげで、彼らは社会の底辺にいる人物だが、多くのことは彼らなしでは成り立たない。
少なくとも、どこが繁盛店になるか、誰が店舗を売りに出しているかなど、彼らの情報網が最も確かだ。
「店は薬草堂からそう遠くないところにあります。二階建てで、合わせて五百平方メートル以上あり、自前の倉庫もあるので、原石の保管に最適です。以前はそこは骨董品店で、内装も悪くないのですが、オーナーが家庭の事情で急いで手放したいそうです。引き継いだ後は、少し改装すれば営業できます」
日向あきらは細かいところまで気を配る人で、仕事をする時は非常に熱心で、すべてを調べ上げていた。
杉本瑠璃はとても満足していた。薬草堂の近くなら、両方を行き来する時間が取れる。