寮に戻ると、杉本瑠璃は斎藤きくこがまだ帰っていないことに気づいた。もう遅い時間なのに、普段なら彼女はすでに戻っているはずだった。きくこは日用品を取りに家に帰っただけなのに、こんなに遅くまで帰ってこないはずがない。
杉本瑠璃は少し心配になったが、きくこの家の電話番号を知らないので、しばらく待つしかなかった。しかし、深夜12時近くになってもきくこは戻ってこなかった。
杉本瑠璃はじっとしていられなくなり、少し考えてから直接教師寮に向かい、渡辺先生の部屋のドアをノックした。
渡辺先生は寝かけていて、最初は睡眠を邪魔されて不機嫌だったが、ドアを開けると杉本瑠璃だったので、怒りは自然と消えた。
「杉本くん、こんな遅くにどうしたんだ?何か急用か?」
渡辺先生は彼の病気の状態に変化があったのかと思い、少し緊張した様子だった。