第105章 虐待されていた

斎藤きくこの父親は、杉本瑠璃に金を渡して追い払おうとした。夜中の強盗だと思い込んでいたのだ。

しかし、杉本瑠璃が一歩前に出て居間に入り、「誤解されているようですが、私たちは強盗ではありません」と言った。

強盗ではない?

では何しに来たのだろう?

杉本瑠璃たちが強盗ではないと知ると、斎藤きくこの父親はすぐに態度を変え、強気になった。

「ふん、お前たちは一体何者だ。夜中に我が家に押し入るなんて、誰に許可をもらったんだ!」

斎藤きくこの継母は、最初は夫の後ろに隠れていたが、今や前に出て、高圧的な態度で「おばあ、警察に電話して、不法侵入よ!本当に天に向かって唾を吐くようなものね。勝手に入ってくるなんて、少し懲らしめないと、私たちの家を甘く見すぎているわ!」

おばあは杉本瑠璃を見て、彼女の声を聞いた後、誰が来たのか分かった。きっと先ほど電話をかけてきた娘で、自分は斎藤きくこの友達だと言っていた子だ。

この小娘は本当に大胆だ、直接ここまで来るなんて。

おばあはもちろん継母の言うことは聞かず、怖がるふりをして動かなかった。

杉本瑠璃は斎藤きくこの父親を一瞥して、「あなたが斎藤きくこのお父様ですね。私は斎藤きくこの友達です。こんな遅くに来たのは、斎藤きくこを探しに来たからです。彼女が紅葉学園の寮に戻っていないので、紅葉学園の先生も一緒に来て、理由を知りたがっています」と言った。

斎藤きくこの父親は一瞬驚いた。まさかこの人たちが斎藤きくこを探しに来たとは思わなかったのだ。さらに杉本瑠璃が、この中に紅葉学園の先生がいると聞いて、態度がすぐに変わった。

彼は斎藤つきこを紅葉学園に入れたいと思っていたが、ずっと方法がなくて悩んでいた。今がまさに絶好の機会で、見逃すわけにはいかない。

「ああ、そうか。お前たちがきくこの同級生と先生だったのか。さあ、どうぞお座りください。おばあ、早くお茶を入れなさい」

斎藤お父様の手のひら返しに、杉本瑠璃はもう慣れていた。彼女は早くから斎藤お父様が良い人間ではないことを知っていた。そうでなければ、継母が斎藤きくこをあんなに虐待することを許すはずがない。

「ご心配なく、私たちは斎藤きくこを探しに来ただけです。斎藤きくこを呼んでいただけませんか?」