第106章 事態が大きくなった

「これは我が家の問題だ。お前たちには関係ない。出て行け!うちはお前たちを歓迎しない。おばあ、お客様をお送りなさい!」

斎藤お父様は面目を失い、多くの人々に斎藤きくこへの扱いを見られてしまい、これが広まれば、どれだけの人が彼を笑い者にするだろうかと思った。

確かにこれは誇れることではない。妻と斎藤つきこがきくこが密かに学校に戻ることを恐れてこのような要求をしなければ、彼もこんなことに同意しなかっただろう。

今、人々に見られ、顔が火照るように熱くなり、特に渡辺先生の正論に、彼は顔向けできなくなった。

これは全てきくこのせいだ。余計なことに紅葉学園の面接に行くなんて。もし彼女が行かなければ、こんなに多くの問題は起きなかったし、家の中もこんなに不愉快な思いをすることもなかった。

全て斎藤きくこが物分かりが悪く、いつも継母の怒りを買うからだ。

おばあは事態が大きくなったのを見て、もうきくこを助けることができず、仕方なく杉本瑠璃たちに早く帰るよう促した。

しかし、杉本瑠璃の命令なしには、あずきちゃんと日向あきらは当然帰るはずもなく、そうして場面は膠着状態に陥った。

「おばあ、警察に電話して!彼らの好き勝手にはさせない!」

斎藤つきこは彼らを怒りの目で見つめた。先ほどの杉本瑠璃の一掴みで、彼女の髪の毛が多く抜け、心が痛んでいた。

「馬鹿なことを!お前に関係ない。横にどいていなさい!」

斎藤お父様は今、斎藤つきこに大声で怒鳴った。斎藤つきこは完全に呆然とした。幼い頃から父親が彼女に大声を出したことはなかったのに、今日は斎藤きくこと杉本瑠璃のために彼女を怒鳴ったのだ。

斎藤つきこは心に不満が溢れ、その理由を考えることもできなかった。斎藤お父様は警察が本当に来て、斎藤きくこの状態を見たら、警察署に連れて行かれるかもしれないことを心配していたのだ。そうなれば事態は更に大きくなってしまう。

時として本当に、恐れていることが現実となることがある。

近所の人が通報したため、近くの警察官がすぐに駆けつけ、直接斎藤家に入った。

斎藤つきこは警察官が来たのを見て、すぐに目を輝かせ、駆け寄って警察官に泣きながら訴え、斎藤きくこの部屋を指さした。