「なに?殺人?」
斎藤お父様は驚きの声を上げ、その場で固まってしまった。
斎藤きくこをベッドに縛り付けて、逃げられないようにしただけなのに、どうして殺人罪になるのだろうか。
斎藤つきことその母親も足がガクガクしていた。彼らは典型的な内弱外強で、斎藤きくこに対して散々意地悪をしていたが、警察の前では軟弱者になってしまった。
「その通りです。急いで署に来て供述をしてください。具体的な状況については、被害者の容態が安定し、生命の危険がなくなってから判断します」
この時、杉本瑠璃は紅葉学園の社会的地位を実感した。
もし来た人が紅葉学園の教師でなかったら、もし彼女と斎藤きくこが紅葉学園の生徒でなかったら、事態はこれほどスムーズに解決されず、斎藤家の人々も警察署に連行されることはなかっただろう。