第119章 色に目がくらんで友を忘れる?

「宿泊と食事は三島様が提供してくれるのだから、私も気持ちとして、無料で薬を提供しましょう。鈴木ゆうすけの体にあるものより効果があることは間違いありません」

杉本瑠璃は軽く言ったが、誰もが知っていた。杉本瑠璃は決して口だけではなく、本当にそうするだろうということを。

くそっ!

腹黒い、これは本当に腹黒い。

以前は三島様が十分腹黒いと思っていたが、今になってわかった。この新入生の杉本瑠璃も腹黒い奴だということを。

見てよ、杉本瑠璃の話し方がなんて芸術的なんだろう。目には目を、とはこういうことを「遠回し」に言うんだ!

杉本瑠璃は言い終わると、ステージに長居することなく、三島悠羽の車椅子を押して降りた。降りてから、杉本瑠璃は三島悠羽に心から言った。「今日は、ありがとう」

三島悠羽は穏やかに微笑み、輝く瞳を細めて杉本瑠璃をしばらく見つめ、紅い唇を開いて言った。「実際の行動で示してくれることを期待してるわ」

杉本瑠璃は一瞬固まり、頭の中が混乱した。実際の行動?

これは三島悠羽に からかわれたのだろうか?

三島悠羽は満面の笑みで杉本瑠璃を見つめ、今の杉本瑠璃の様子を楽しんでいるようだったが、それ以上からかうことはなかった。

「どうしたの?私専属の主治医という肩書きは、ただの名目だけじゃないわ。今回試験に参加したんでしょう?きっともう独り立ちも近いはずよ」

これを聞いて、杉本瑠璃はようやく三島悠羽の言葉の意味を理解した。しかし、自分が考えすぎたのか、それとも本当に三島悠羽が からかっていたのか?

三島悠羽の真面目な表情を見ると、先ほどの表情はなくなっていて、これが杉本瑠璃の疑問を深めた。

そこで再び読心の能力を使って三島悠羽の心を読もうとしたが、結果は同じで、何も読み取れなかった。三島悠羽の頭の構造がどうなっているのか本当に不思議だった。なぜ他の人の心はすんなりと読めるのに、三島悠羽だけは読めないのだろう。

仕方ない、何度か試してみたが、杉本瑠璃はついに諦めた。どうやら本当に三島悠羽の心は読めないようだ。まさか三島悠羽には読心を遮断する能力があるのだろうか?

読めないなら、杉本瑠璃はそれ以上考えないことにした。

「私があなたの主治医になると約束した以上、全力を尽くします」

杉本瑠璃は真剣に言った。彼女は軽々しく三島悠羽と約束したわけではない。