三島明の反応は三島聡より遅く、杉本瑠璃たちが数歩離れた後になってようやく気づき、周りの人々の視線も気にせず、相変わらずの高慢ちきな御曹司の態度を見せた。
杉本瑠璃は三島悠羽の車椅子を押しながら、万人の注目を浴びても歩みは安定しており、少しの臆病さも見せず、とても威厳があり、若いながらも女王様のような冷たい雰囲気を漂わせていた。
その時、誰も面倒を起こしに来ることはなく、むしろ皆が遠くから様子を窺い、杉本瑠璃の身分について思いを巡らせていた。
これまで三島様の周りには女性が一切現れなかったのに、今回突如として一人の女性が現れたのだから、当然騒ぎになるはずだった。
杉本瑠璃は三島悠羽の指示に従って、人の少ない場所まで車椅子を押していくと、年配の男性たちが輪になって親しげに話し合っている様子が目に入った。
こちらの動きに気づいた彼らは会話を止め、こちらを見た。三島悠羽を見た時は喜びの表情を浮かべ、杉本瑠璃を見た時は皆一様に驚いた表情を見せた。まるで事前に打ち合わせをしていたかのように、その反応は実に揃っていた。
三島悠羽は中央にいる50歳に満たない男性を見ると、微笑みながら軽く頷き、「父上」と一言呼びかけた。
杉本瑠璃がその声に従って見やると、精気溢れる男性の姿があった。これが三島悠羽の父親、三島颯真だったのだ。
三島颯真についての情報は、杉本瑠璃も多少知っていた。かつての三島颯真の艶やかで浮気性な伝説的な話は、多くの人々の茶飲み話の種となっていた。
この三島颯真は威厳のある外見で、大家の風格があったが、女好きだった。
正確に言えば、彼は浮気性で、一人の女性に誠実ではなかった。
現在の三島颯真の妻は三人目の妻であり、杉本瑠璃の知るところでは、その後まもなく四人目の妻を迎えることになる。その妻は息子よりも若かった。
三島颯真の私生活に関する噂は絶えることがなく、三島颯真自身も自分の私生活を人々に知られることを気にしていないようだった。彼のような人物にとって、周りの女性が多ければ多いほど、美しければ美しいほど、若ければ若いほど、面目が立つということだった。