第170章 耳鬢厮磨(9)

杉本瑠璃は、葵が車を用意していると思っていたが、三島悠羽について行った先で、むき出しのヘリコプターを目にした時、完全に呆然としてしまった。

彼女は確かに三島悠羽を過小評価していたようだ。高級車やスポーツカーなんて目じゃない、直接ヘリコプターを使うなんて、まさに最高にかっこいい!

これまでの人生で、杉本瑠璃はヘリコプターに乗ったことがなかったが、今回初めて体験することができた。

しかし三島悠羽は病院には向かわず、直接帝国ホテルの彼の別荘の庭園まで飛んでいった。

さすがに、すべて計算済みだったようだ。別荘の庭園までヘリコプターが着陸できるほど広い。なるほど、後世の人々が金持ちを羨むのも無理はない。こういうことは、羨んでも手が届かないものだ。

しかし杉本瑠璃はそれほど羨ましくは思わなかった。彼女は自分の手元にある資源をうまく活用し、そして二度目の人生というチャンスを活かせば、自分の道を切り開くことは不可能ではないと信じていた!

部屋に着くと、すべての医療機器が準備されており、白衣を着た専門家たちが待機していた。

白衣を着たその人々を見て、杉本瑠璃は思わず何度も見直した。彼らの着ている白衣は一般の病院のものとは異なり、胸元に赤いMのマークがついていた。

これは彼女が以前、治験バイトをしていた時の科学者たちが着ていた白衣を思い出させた。ただし、そのマークは今回のものとは異なっていた。

しかし...このようなマークがある以上、おそらく普通の医者ではないだろう。

杉本瑠璃はこれらの医師たちを一瞥しただけで、何も言わなかった。朝日執事の腕に包帯が巻かれているのが見え、明らかに既に手当てを受けていた。

しかし朝日執事は休んでおらず、他の人々と同様に三島悠羽の帰りを待っていた。

三島悠羽と杉本瑠璃の二人が無事なのを見て、朝日執事はようやく安堵の息をつき、体の力が抜けた。

「朝日執事、先に休んでください。」

三島悠羽は朝日執事の様子を見て、朝日執事と田中さんの二人も命がけの経験をしたことを悟った。朝日執事は抵抗せず、三島悠羽の言葉に従って下がった。

三島悠羽は自分の部屋ではなく、専用の医務室にいた。白衣を着た医療スタッフたちや葵たちもそこで待機していたが、杉本瑠璃が気づいたのは、これらの人々は全員初対面だということだった。