第171章 耳鬢厮磨(10)

「親分、あの傭兵たちは我々の手で捕まえました。特別な組織には属していません。戦場から退役した古参兵たちです。どう処置しましょうか?」

葵は軽蔑的な口調で話し、明らかにこれらの人々を眼中に入れていなかった。

三島悠羽はまるで予想していたかのように、軽く頷いただけで、「とりあえず生かしておけ。まだ用がある」と言った。

「はい、今はヤマネコに任せてあります。生かしておくことは間違いありません」

葵の言葉の意味が分からず、杉本瑠璃は彼を見つめた。

【生かしておくのは確かだが、ヤマネコに任せたということは、半死半生になるだろうな】

ああ……

杉本瑠璃は瞬時に理解し、同時に自分なりの考えを巡らせた。

葵たちは一体何者なのか?なぜ傭兵に対してこれほど冷静でいられるのか。

いや、冷静というより、軽蔑的だ。

完全に傭兵を見下しているではないか!

傭兵以上に強い存在なんて、杉本瑠璃には想像もつかなかった。

三島悠羽の正体は...あまりにも謎に包まれている。

三島グループの御曹司という身分だけでも多くの人々の憧れの的だったが、杉本瑠璃から見れば、三島悠羽はこれほど大きな商業帝国さえも眼中にないように思えた。

むしろ杉本瑠璃は、彼が自分の父親に対しても良い感情を持っていないと感じていた。もし三島グループが祖父の手によって築かれたものでなければ、彼が自らの手で三島グループを破壊することさえあり得るのではないかと思えた。

なぜか、杉本瑠璃にはそんな奇妙な感覚があった。

三島悠羽の破壊力は、あまりにも大きすぎた。

一見体が弱そうに見えるが、その本質は...そうではないようだ。

「ああ」

三島悠羽は軽く「ああ」と返事をし、その声には強い疲れが滲んでいた。杉本瑠璃が見ると、風間先生とその部下たちはいつの間にか去っており、そこには葵たち数人と杉本瑠璃だけが残っていた。

葵も明らかに三島悠羽の疲れを察知し、後続の処理をしに戻ると言った。去り際に、まだ杉本瑠璃を見つめずにはいられず、この少女に一体何が特別なのか、なぜ親分が心を動かされて側に置いておくのかと考えていた。

彼らのような影のような存在は、身内でなければ決して会うことはできないはずだ。