任務を言い渡した後、杉本瑠璃は薬草堂に座っていた。思いがけず、しばらく連絡を取っていなかった山田ひろしが突然訪ねてきた。
山田ひろしはパラダイスに行ったが、杉本瑠璃を見つけられず、薬草堂に運試しで来てみたところ、思いがけずも本当に杉本瑠璃を見つけることができた。
ただし……薬草堂の散らかり具合を見て、山田ひろしは少し呆然とした。
「これは……一体どうしたんですか?何があったんですか?」
山田ひろしの突然の来訪に、杉本瑠璃も少し驚いたが、意外に思っただけだった。
「ちょっとした出来事があっただけよ。山田社長はどうしてここを見つけたの?」
山田ひろしは少し躊躇して、周りを見回し、考えた後で、「本来なら杉本さんのところでこんな事態が起きているのに、お邪魔して迷惑をかけるべきではないのですが……はぁ、私はもう本当に行き詰まってしまって、杉本さんに一度だけ助けていただきたいのです」
杉本瑠璃は山田ひろしをしばらく見つめ、彼の心の中を読み取り、すべてを理解した。
よかった、彼女はこの日が来ることを予想していた。山田ひろしもついに来たのだ。
「山田社長は遠慮しすぎですよ。何かあったら言ってください。私にできることなら、必ず助けますから」
杉本瑠璃は静観を決め込んだ。山田ひろしが自ら門を叩いてきたことは、まさに願ってもないことだった。
パラダイスのすべては準備が整っており、多くの専門家も招いており、日向あきらが父を補佐していることもあり、なんとか持ちこたえられていた。
しかし、ある人物が不足していた。経験豊富な人物が側で見守る必要があった。
杉本瑠璃が宝石店を開きたいと思い始めた日から、彼女は山田ひろしに目をつけていた。その後、山田ひろしとの接触もあったが、彼は最後まで承諾せず、こちらに来ることはなかった。
今回は本当に持ちこたえられなくなったようだ。
山田ひろしはしばらく躊躇した後、「この件は……はぁ、本当に言い出しにくいのですが、もう行き詰まってしまったからこそ、あなたを頼りに来たのです」
「山田社長の性格は分かっています。でも、せっかく来たのですから、遠慮なく話してください」
山田ひろしは頷いて、「杉本さんの宝石店がオープンすると聞きました。そして、当日には原石を用意して原石切りも行うとか」