二階では、女性たちが熱狂していた。杉本瑠璃が説明した後、彼女たちは夢中になり、二階から降りようとせず、みんなそこで珠を選び続けていた。
杉本瑠璃の任務はほぼ完了していた。これらの女性たちに教えたことで、後は自然と宣伝してくれる人がいるだろう。
二階から降りてくると、すでに息を呑む声が聞こえた。原石が開かれていたのだ。
開かれたのは黒い翡翠だった。実際、墨翡翠は翡翠の中でも良い品種とは言えないが、この墨翡翠は全体が漆黒で、不純物が全くなく、光さえも通さないほどで、とても興味深い翡翠と言えた。
少なくとも、他の墨翡翠でこれほど純粋な黒さを持つものはない。
そして、墨翡翠を特に好む人もいて、これは完全に個人の好みによるものだった。
羽田和彦は長い間見ていたが、最終的にこの墨翡翠を購入することはなかった。意外にも、この墨翡翠は中川肥塚が落札した。