羽田和彦が自分がこの翡翠の持ち主だと思った瞬間、事態は急変した!
そう、誰もが予期せぬ大きな変化が起きたのだ!
「五十億!」
優雅で深みのある男性の声が響き渡った。落ち着いた口調ながら、人を圧倒するような威厳を漂わせていた!
心臓の弱い人は、この一声でめまいを起こしそうになった。
五十億?
五十億?
本当に五十億?
聞き間違いではないのか?
一体誰が、このような金額を出せるというのか。
先ほどの源様と伊藤様の二人の大胆な値段で、既に金持ちとはどういうものかを見せつけられたというのに。
彼らの目には、これ以上の値段はないと思われたが、まさか今、誰かが直接五十億という値段を叫ぶとは!
多くの男たちは心の中で思わず罵声を上げた。くそっ!誰が******こんなに金持ちなんだ!
そして、群衆の中から自然と道が開け、天にも昇るような美しい男性が車椅子に座って現れた。その一挙手一投足には威厳が満ち溢れ、人々は彼が車椅子に座っているということすら忘れてしまうほどだった。
三島悠羽はこうして万人の注目を集める中、皆の前に姿を現した。朝日執事は三島悠羽の後ろについて、いつものように専用の手袋をはめ、三島悠羽の車椅子を押しながら、一歩一歩杉本瑠璃の方へと進んでいった。
杉本瑠璃は三島悠羽の出現に少しも驚かなかった。三島悠羽が来ると約束したのなら、必ず現れるはずだと知っていたからだ。
ただ、彼女が予想していなかったのは、三島悠羽が五十億という値段を提示したことだった。
正直に言えば、この翡翠は非常に貴重ではあるものの、杉本瑠璃はこの翡翠が本当に五十億の価値があるとは思っていなかった。この価格は明らかに実際の価値をはるかに超えていた。
三島悠羽は羽田和彦のように「けち」ではないが、決して頭に血が上って衝動的に行動するような人物でもない。
なぜこんな高額な値段をつけたのだろう?
羽田和彦は三島悠羽が現れた瞬間、完全に呆然となり、さらに面白いことに目をこすって、自分が見間違えていないことを確認した。
確かに、見間違いではなかった。間違いなく見間違いではなかった。
来たのは確かに三島様だ。どうして彼がこんな場所に現れるはずがあるんだ?
いや、正確に言えば、三島様がどうしてこんなに大勢の人がいる場所に出てくるんだ?