第224章 一躍千里(その23)加筆

とにかく三島悠羽が現れた瞬間、羽田和彦は自分にもう勝ち目がないことを悟った。三島悠羽が出てきた以上、どんなに翡翠が欲しくても、三島悠羽の実力には到底及ばないのだ。

羽田和彦はため息をつきながら、心の中で悔しさが込み上げてきた。こうなることが分かっていれば、先ほどの墨翡翠を先に買っておくべきだった。

少しは収穫があったと思っていたのに、今となっては何も得られなかった。

目をつけた翡翠は全て、最後は他人に奪われてしまった。

強盗!みんな強盗だ!

今この瞬間、羽田和彦の心の苦しみを理解できる人はいないだろう。

確かにこの価格は非常に魅力的で、もし彼女が本当にこの50億円を持っているなら、これから展開しようとしているビジネスは、資金面では間違いなく問題ないはずだ。

でも...なんだか変な感じがする。おそらく、この翡翠を三島悠羽が落札したからだろう。