羽田和彦は顎に手を当てながら、再び手を挙げた。「八億千万円です」
その価格は依然として控えめで、彼のスタイルにぴったりだった。
「九億円」羽田和彦が価格を呼び上げた後、伊藤様は彼の価格など気にも留めない様子で、すぐさま九億円と言い放った。
まさか、価格が最初からこんなに激しくなるとは。羽田和彦は心中穏やかではなかった。実際、この翡翠の価格は先ほどのエンペラーグリーンとほぼ同じで、彼の受け入れられる範囲内だったのだ。
突然九億円まで跳ね上がるとは。羽田グループにとって九億円は大した額ではないが、彼が自由に使える資金は実はそれほど多くない。まだ羽田グループを完全に掌握していないからだ。
そして彼の持っている金は、基本的に長年の自身の起業活動で得たものだった。
一方は彼の愛する翡翠、もう一方は翡翠の価値を超える価格。その間で板挟みになった羽田和彦は非常に苦しい立場に立たされた。