「七億……私、こんなにたくさんのお金を見たことがないわ。これをどう使えばいいの?ただの翡翠一つでこんなに価値があるなんて?」
外側に立っていた高橋友美は、目を丸くして呆然としていた。ふと、自分はもう田中美奈たちとは違う世界の人間になっていたのだと感じた。
「ねぇ、田中美奈の娘さん、とてもいい子だと思うわ。もし私たちの家に来てくれたら最高なんだけど」伊藤明里は目を輝かせながら、すぐに提案した。
中川肥塚は目を輝かせ、妻の意図をすぐに理解した。二人は目を合わせ、心の中で計算し始めた。
これらは杉本瑠璃が知らないことだった。もし知っていたら、きっと笑い出してしまっただろう。
メディア関係者たちも、この七億という数字に魅了されて抜け出せないでいた。今日なぜこんなに多くの大物が集まったのか、本当に理解できた。
杉本瑠璃の人脈が広いだけでなく、より重要なのは、彼女が持っている翡翠が、それらの大物たちを絶対的に魅了する力を持っているということだった。
最初の二つの翡翠があまりにも衝撃的だったので、次の最後の翡翠に対する好奇心がさらに高まっていた。
通常、最後は目玉商品だ。一体どんな翡翠なのか、このエンペラーグリーンよりも価値があるとは。
一瞬のうちに、全員の視線が最後のショーケースに集中した。山田ひろしも皆の好奇心が掻き立てられていることを知り、オークションを続けた。
「では、三つ目の翡翠をご覧ください。まず皆様にお伝えしておきますが、この翡翠は非常に貴重で、現在世界に存在する翡翠の中で、たった一つしかありません。本日、これが二つ目となります」
山田ひろしの言葉を聞いて、皆の好奇心はさらに高まった。伊藤様は眉をひそめ、三つ目の翡翠の方を見つめながら、「早く開けろ。何であろうと、私が買う」と言った。
非常に威厳のある一言で、直接的に意思を表明し、同時に皆にこの翡翠の所有者になることを宣言した。
羽田和彦も山田ひろしの言葉に引き付けられた。彼が最も好むのは、特別な翡翠だった。
この翡翠が世界で二つ目と称されるなら、確実に彼のコレクションにはないものだ。羽田和彦も急に興味を示し、この翡翠を手に入れたいと思った。
山田ひろしはもう駆け引きをせず、直接ショーケースの赤い布を取り除いた。その瞬間、会場では息を呑む音だけが聞こえた。
はっ!