第227章 三島悠羽の心の内(1)

三島悠羽は首を振り、微笑みを浮かべた。「何でもないよ。私は子供じゃないんだから、こんな些細なことで怒ったりしないわ。気にしないで。今日は一日中忙しかったでしょう?早く休んだ方がいいわ」

杉本瑠璃は三島悠羽の瞳をじっと見つめていた。彼女は三島悠羽が怒っていないことは信じていたが、何か気がかりなことがあるのは明らかだった。

でも、一体何なのだろう?杉本瑠璃は悩んでいた。

まずい!もしかして三島悠羽の体調がまた悪くなったのではないか?

杉本瑠璃は覚えていた。前回三島悠羽がお風呂に入った時も、浴室のドアの外から何度も声をかけたのに、三島悠羽は我慢して、何も言おうとしなかった。今日も体調が悪いのだろうか?

そう考えた途端、杉本瑠璃はすぐに緊張し、立ち上がって瞬時に三島悠羽の側まで行き、一言も言わずに三島悠羽の手を取って、脈を診た。

脈は依然として陰虚気味ではあったが、全体的には力強く、病状が悪化したわけではなさそうだった。

でも病状の悪化でないとすれば、一体何が原因なのだろう?杉本瑠璃には全く見当がつかなかった。

三島悠羽は杉本瑠璃が脈を診終わると、手首をひねって手を引っ込め、笑いながら言った。「この数日間、杉本先生は毎晩鍼灸術をしてくれて、体調もだいぶ良くなってきたわ。今日は必要ないから、早く休んでください」

杉本瑠璃はしばらくの間、三島悠羽の少し様子がおかしい理由が分からず、仕方なくうなずいて、先に部屋に戻ってシャワーを浴びることにした。

シャワーを浴び終わって、ベッドに横たわると、三島悠羽がまだ来ていないことに気づき、少し不思議に思った。

ベッドの上で何度も寝返りを打ちながら長い間もがいていたが、眠れなかった。たった数日のことなのに、もう隣に三島悠羽がいないと落ち着かないのだろうか?

杉本瑠璃は眠れず、思い切って起き上がり、頭を乱暴に掻き回してから、少し躊躇した後、ベッドから降りて三島悠羽の部屋とつながっているドアまで行き、考えた末、手を上げてそっとドアをノックした。

「コンコンコン!」

音は小さかったが、静かな部屋の中ではとてもはっきりと聞こえた。

試しにノックしただけだったが、向こうから本当に反応があった。三島悠羽の車椅子の音がして、そして中央のドアが開いた。