杉本瑠璃は眉をひそめ、「どんな問題?」と尋ねた。
これまで、あずきちゃんと藤原春樹は他のメンバーと共に、密かに原西開発区の栽培地を買収してきた。以前は大きな問題もなく、せいぜい気づいた人が参入しようとする程度だった。
しかし、杉本瑠璃はその時点で対策を講じ、そういった人々が介入できないようにした。その後はスムーズに進み、他の問題は発生しなかった。
日向あきらは慎重に言葉を選びながら、「以前、私たちと競合しようとした人々に対しては、あなたの指示通り、土地を分散して購入し、彼らが買収しても開発できないようにしました。そのため、多くの人が諦めて撤退しました。しかし最近、状況が変わってきているようです。どうやら大物が介入してきたようです」と説明した。
杉本瑠璃は目を閉じたまま、日向あきらの話を聞いて、「分かった。しばらくは様子を見て、誰が介入してきたのか調査してください。パラダイスはすでに開業したので、これからは原西の方に主力を置きます。藤原春樹とあずきちゃんに注意深く見守らせて、人手が足りなければ、あなたも一時的に手伝ってください」と指示した。
日向あきらは頷いて、「はい、彼らを手伝います。それと、資金が不足してきているようです。以前の資金で安価に多くの土地を購入しましたが、原西地域の政府が開発を計画しているという噂が広まり、残りの土地所有者たちが高値を要求し始めています」と報告した。
「彼らの要求が法外でなければ、応じても構いません。ただし、私が設定した上限額を超えないようにしてください。資金面については心配いりません。今日売却した翡翠で、土地の買収と新規プロジェクトの開発に十分な資金が確保できました」
日向あきらはこれを聞いて安心した。正直なところ、今日のスリリングなオークションを見て、彼の心拍数も最高値を記録したほどだった。
その後、全体の進捗状況と今後の準備について杉本瑠璃に報告し、杉本瑠璃は静かに聞きながら、いつ本格的に動き出すべきか考えていた。
日向あきらが杉本瑠璃を帝国ホテルまで送り届けた時には、すでに午後10時近くだった。杉本瑠璃が入口に入るとすぐに、朝日執事が少し驚きながらも興奮した様子で、「杉本先生、お帰りなさいました!」と声をかけた。