第231章 三島悠羽の心事(5)

盗んだの?

レジ係は手に持っているブラックカードが熱く感じられ、このカードは本当に盗まれたものなのではないかと思った。

彼女はスキャンすべきなのだろうか?

とても悩ましい、レジ係として何年も働いてきたが、こんな事態は初めてだった。

それに、さっきその中年の貴婦人が「三島家」と言っていたような気がする。このブラックカードには確かに「三島」の文字があった。

三島家...三島家...

まさかあの三島家?

そんな偶然があるはずがない。あの三島家といえば、高嶺の花のような存在なのに、どうしてこんなスーパーマーケットに現れるはずがない。

杉本瑠璃は中年の貴婦人を冷ややかに見つめ、この女性の身分をおおよそ察していた。この年齢で、こんなに横柄で、どこか見覚えがある...

ふふ、彼女はこの女性が誰なのかわかった。