杉本瑠璃は目立たない車を適当に選び、車を運転して帝国ホテルを出て、近くの大型スーパーマーケットへ直行した。
この大型スーパーマーケットは繁華街の目立つ場所にあり、最初は店の入り口に車を停めようと思ったが、そこに着いてみると駐車スペースがなかったため、地下駐車場に停めることにした。
彼女が気付かなかったのは、先ほど店の入り口に車を停めた時、二人の人物の注意を引いていたことだった。
「おばさま、どうされましたか?」水瀬霧乃は、おばが一台の車を見て立ち止まり、奇妙な表情をしているのを見て尋ねた。
「あのナンバープレート、私知っているわ」四十代の女性は、手入れの行き届いた優雅な容姿で、上から下まで全身インターナショナルブランドに身を包んでいた。
水瀬霧乃は少し驚いて聞いた。「おばさま、あの車の持ち主をご存知なんですか?挨拶に行きましょうか?」
優雅な女性は眉をしかめ、何かを考えているようだった。しばらくして、杉本瑠璃が先ほど停車していたスーパーマーケットを指さして尋ねた。「あそこは何?」
水瀬霧乃は見て答えた。「大型スーパーマーケットみたいですね。私もあんな所に行ったことがないので、よく分かりませんが。」
スーパーマーケット?
優雅な女性は考え込むように言った。「行ってみましょう。」
水瀬霧乃は行きたくなかったが、おばに引っ張られて一緒についていくしかなかった。ただ、おばが見た車の持ち主が誰なのか、なぜそんなに興奮しているのか気になっていた。
一方、杉本瑠璃は車を地下駐車場に停め、鍵と三島悠羽からもらったブラックカードを持ってスーパーマーケットに入った。
スーパーに入るとすぐにショッピングカートを取り、三島悠羽の冷蔵庫には何も入っていないことが我慢できなかった。彼女の習慣では、冷蔵庫は必ずいっぱいにしておかなければならなかった。
このカート一台分を買っても、おそらく満杯にはならないだろう。三島悠羽の冷蔵庫は超大型の両開きで、中の空間が驚くほど広かったからだ。そんな素晴らしい冷蔵庫なのに、中に何も入っていないなんてもったいない。
杉本瑠璃はまず食材を選び、今日一日分の料理の量を考えた。三島悠羽の好みと料理の難易度を考慮して、野菜と肉類を購入した。