「蒼、どうしてそんなに怒らないの?むしろ楽しそうに笑ってるじゃない。あの安藤颯があなたの陰でこんなに悪口を言ってるのに、私は本当に腹が立つわ!」
斎藤きくこは怒りで足を踏み鳴らし、桐生誠一も厳しい表情で言った。「ずっと前から、俺はあの安藤颯が気に入らなかった!あいつの顔を見れば分かるだろう、女に寄生して生きてるクズだ。以前は瑠璃に近づこうとしてたのに、瑠璃の家が破産したとたん、すぐに石川静香の元へ走った。ふん、今じゃもっとひどい。新しいターゲットを見つけたら、石川静香も蹴り捨てやがった!石川静香も自業自得だ、今頃苦い思いをしてるだろう!」
えっ?
杉本瑠璃は桐生誠一の言葉を聞いて、少し興味を持ち始めた。
安藤颯が石川静香を振って、新しいターゲットを見つけた?
ふふ、これは面白いニュースだ。でも安藤颯の性格を考えれば、確かにそんなことをしそうだ。
結局、安藤颯はいつもこうだ。杉本瑠璃にとっては珍しくもない。
「つまり、安藤颯の今の彼女は石川静香じゃなくて、別の人になったってこと?」
杉本瑠璃は少し興味深げに尋ねた。
斎藤きくこは力強くうなずいて言った。「そうよ!安藤颯のやつ、どこでそんな運を拾ってきたのか、私たちの新入生を手に入れたのよ。この新入生も大物なの。体調の問題と、お父さんの影響力のおかげで、芸術学部の人たちみんなが彼女を大切にしてるわ。私たちみたいじゃないのよ。入学したばかりなのに虐められて。彼女は素敵なお父さんがいるから、来たときから大切にされてるのよ」
この言葉には少し嫉妬が混じっていたが、杉本瑠璃には分かっていた。斎藤きくこは妬んでいるわけではなく、ただ少し心理的なバランスが取れていないだけだ。
結局のところ、紅葉学園の新入生の待遇はみな似たようなもので、多かれ少なかれ困難な状況に直面するものだ。
「それは違うよ。その新入生も虐められたんだ。ただし他の学部の人たちにね。でも安藤颯は運良く、ヒーローを演じる機会を得たんだ。いや、違う!ちっ、ちっ、ちっ!正確には、クズ野郎がお嬢様を救ったってところかな!」
桐生誠一は話しながら、表情豊かに演じていて、杉本瑠璃は興味深く見ていた。
「それからの展開は、まるでドラマみたいだった。あれよあれよという間に、安藤颯はその新入生の美人を手に入れたんだ」