考えるまでもなく、杉本瑠璃は水瀬玲奈が姪の水瀬霧乃を売り込みに来たことを知っていた。
考えれば考えるほど、杉本瑠璃は可笑しくなった!
この水瀬玲奈は頭が悪いのか?三島悠羽が一番嫌っているのが自分だということを知らないのか?よくも姪を推薦しに来られたものだ、本当に奇妙だ。
一体どこからそんな自信が湧いてきたのか、三島悠羽が彼女の言うことを聞いて姪と結婚すると思ったのだろうか?
三島悠羽は頭がおかしいとでも?
ふふ、杉本瑠璃は思わず笑ってしまった。
水瀬玲奈という女性が三島夫人の座を守れているのだから、少なくとも賢いはずだと思っていたのに、利益とチャンスの前では正気を失ってしまうとは。
「誰が来ても、水瀬玲奈に関係する人間は全て外で止めておけばいい」三島悠羽は水瀬玲奈が何をしに来たのかも、誰と一緒に来たのかも気にしていなかった。
三島悠羽にとって、水瀬玲奈など眼中にない存在だった。
「あなたって本当に女性に優しくないのね!」杉本瑠璃は冗談めかして言った。
三島悠羽は笑いながら答えた。「君以外の女性に手荒な真似をしないだけでも、彼女たちにとっては幸せなことだよ」
つっ!
なんて強気な発言!
でも……私は好きよ!
好きでもない人に対して、無理して付き合う必要なんてない。無視すればいいだけ。
「お爺様が私に会いたがっているなら、孫の嫁に会わないわけにはいかないでしょう。愛する妻よ、準備はできているかい?今週末、私の祖父に会いに行こう」
朝日執事は既に杉本瑠璃と三島悠羽が結婚したことを知っていた。これは彼が常に願っていたことでもあった。若様が一生独りで過ごすことになるのではないかと心配していたのだ。
しかし、杉本瑠璃が現れた瞬間から、朝日執事には予感があった。杉本瑠璃が若奥様になるかもしれないと。まさか、こんなに早くその日が来るとは。
これでよかった。若様の傍らにようやく寄り添う人ができた。今やっとそういう人が現れて、本当に良かった!
「そうね!これでお爺様もあなたを追い詰める口実がなくなるでしょう。そして水瀬玲奈のもくろみも、きっと空振りに終わるわね」
既に三島悠羽の妻となった以上、怖いものなどない。一度死を経験して乗り越えた身だ、もう恐れることなどない。
三島悠羽は杉本瑠璃を見つめ、その目には誇りの光が宿っていた。