第267章 お前らの目を潰してやる!(11)

杉本瑠璃は立ち止まることなく、続けて言った。「私は良家の育ちですから、あの日の出来事を皆さんにお見せすることに全く抵抗はありません。ただし...あなたのあの日の振る舞いは本当に見苦しいものでしたね。教養どころか、まるで市井の喧嘩女のような行動でした。私も色々と勉強になりましたよ」

水瀬玲奈はその場で呆然となり、杉本瑠璃の言葉は、まるで大爆弾のように、皆の心に炸裂した。

三島颯真は眉をひそめた。彼が考えていたのは、杉本瑠璃が先ほど言った言葉だった。

水瀬玲奈と彼女の姪は、公の場で水瀬霧乃が三島悠羽の婚約者だと言い、さらに彼らが結婚したら、彼女水瀬玲奈が三島グループの女主人になると言ったのだ!

三島颯真は女性を甘やかすのは甘やかすが、それは彼が全く頭がないということではない。これまで、彼と父親の考えは一点だけ一致していた。

それは三島グループは、必ず三島悠羽が継承しなければならないということだ。

三島悠羽は、絶対に彼らの心の中での第一候補だった。

水瀬玲奈は三島颯真の前では、常に優しい女性を演じており、さらに何度も三島グループには興味がないこと、この人生は彼と息子がいれば十分だと表明していた。

以前、彼女が息子の三島明を三島グループに入れてほしいと頼んだ時も、後に三島明自身の理由で、彼が三島グループに入る資格を取り消した時も。彼は水瀬玲奈がそうしたのは、三島グループを争奪するためだとは考えもしなかった。

しかし、もし本当に水瀬玲奈があのような言葉を言ったのなら、この妻の心の中の本当の考えを、改めて評価し直す必要があるだろう。

もしかして...水瀬玲奈は心の中で本当は三島グループを争奪したいと思っているのに、彼の前では少しもそのような意図を見せないようにしているのだろうか?

もし本当にそうだとすれば、水瀬玲奈の演技は素晴らしすぎる!

考えれば考えるほど、三島颯真は背筋が寒くなった。自分の枕元の人、愛する可愛い妻がこれほど深い心思を持っているとは想像もできなかった。

もちろん、杉本瑠璃が嘘を言っている可能性も排除できないが、杉本瑠璃のこの言葉は、彼の心の底に一つの種を植え付けた。

以前の三島颯真は水瀬玲奈が三島グループを争奪しようとするとは全く考えていなかったが、今や、彼の心に疑いが芽生え始めた。