第276章 お前らの目を潰してやる!(20)

安藤間は杉本瑠璃が誰なのか分からなかったが、名前にどこか聞き覚えがあるような気がした。一方、水無瀬元宗は杉本瑠璃のことを認識していた。

その日、Loyaの個室で、杉本瑠璃は山口健太が特別に招待したゲストで、彼らの会話から、杉本瑠璃は山口家の恩人らしかった!

山口健太に恩人として扱われるというのは、相当な面子だ。

杉本瑠璃は山口健太の恩人で、山口健太は彼らの大ボスだ。彼らタレントは完全に山口健太に生計を依存している。

「安藤間さん、そこまでにしておいた方がいいよ。やり過ぎだよ」

水無瀬元宗は小声で注意したが、今はこれだけの人がいるので、これ以上は言えなかった。

しかし安藤間は何様のつもりだ。なぜ彼女が止めなければならないのか?

今ここで止めたら、むしろ後ろめたさがあると思われかねない。

「あなたには関係ないでしょう。口を出さないで!」安藤間も笑顔で返した。

水無瀬元宗は少し困った様子で、「後で後悔しても、私が警告しなかったとは言わせないよ」

スターどうしで、誰も人に頭を下げたくない。この頃、彼と安藤間の間に少し恋愛の気配があったから忠告したのであって、そうでなければ余計な口出しなどしたくなかった。

さて、もう手遅れだ。彼が安藤間に忠告したのに、安藤間は感謝するどころか。

一方、杉本瑠璃は水無瀬元宗を一瞥し、水無瀬元宗は杉本瑠璃に頷いて友好の意を示した。

杉本瑠璃はそれを見ていた。水無瀬元宗が彼女の身分を認識したからこそ、このような態度を取ったのだと分かっていたからだ。

安藤間は少し気の毒だった。当時個室にいた時、そこまで注意を払わず、さらに俯いていたため杉本蒼の顔を見ていなかったので、杉本瑠璃だと気付かなかった。

「公平?安藤間さんは公平を重視されるようですね」

杉本瑠璃が突然口を開いた。心の中では皮肉に感じた。安藤間がここで公平を語るなんて。

「その通りです。公平が一番大切です」安藤間は正義感あふれる様子で、正義の使者を演じ、またたくさんの人々の好感を得た。

杉本瑠璃は笑い出し、落ち着いた様子で言った。「なるほど。でも安藤間さんは本当の公平とは何か分かっているのでしょうか?ユニバースメディアは、今日は全員が時間通りに集合しなければならず、遅刻した者は資格を失うと言っていました」