杉本瑠璃は話をした人を一瞥した。彼らのチームのメンバーではなく、隣の安藤間チームの人だった。
男子学生で、正義感に満ちた表情をしていたが、口から出る言葉は下品そのものだった。
彼が先導すると、みんなも気づき始めた。確かに、杉本瑠璃と斎藤きくこのテントだけが二人用テントだった。
今、斎藤きくこのテントで鈴木てんいちが見つかったということは、二人が昨夜同じテントで寝ていたということ。そうなると、杉本瑠璃のテントにも...誰かいるのではないか?
すぐさま、何人かが杉本瑠璃のテントを覗き込もうとし始め、あとはテントを開けて中を確認するだけという状態だった。
杉本瑠璃は自分の弁解も、斎藤きくこの弁解もせず、ただその男子学生を見つめて尋ねた。「あなた、私たちのチームの人じゃないですよね?」