杉本瑠璃と三島悠羽の二人は、よくキスや甘い雰囲気になることはあっても、野外のテントの中でこのような経験をしたことはなかった。
外にはまだたくさんの人がいることを考えると、この情熱的な感覚に不安が混ざり、二人は異なる感覚を味わっていた。
まるで...より一層刺激的になったような!
テントの前の焚き火は風で揺れ、テントの外では時折風が吹きすさび、気温が下がり始めていた。
テントの中では、二人が耳元で囁き合い、蜜のように甘い雰囲気で、テント内の温度は瞬く間に上昇し、甘い空気が漂っていた。
「一人で来たの?」ようやく時間ができ、杉本瑠璃は息を切らしながら尋ねた。
「葵たちが見張っているから、安心して。今回は暗殺事件なんてないよ。」
前回二人が外出した時は傭兵に追われたため、今では杉本瑠璃と三島悠羽が一緒にいる時は、三島悠羽が万全の準備をしていた。
杉本瑠璃の周りにも、三島悠羽は密かに護衛を配置していた。三島悠羽は傭兵たちを杉本瑠璃に譲ったものの、杉本瑠璃はめったに傭兵たちに密かな護衛を要求することはなかった。
そのため、三島悠羽は自分の部下を回して、密かに杉本瑠璃を守らせていた。三島悠羽にとって、自分の部下の方が安心できたからだ。
「もしかして、よくこういう状況になるの?」杉本瑠璃は冗談めかして言った。
三島悠羽は笑って、「どう?怖い?」
杉本瑠璃の質問に直接答えず、曖昧に問い返した。
杉本瑠璃は真剣に三島悠羽をしばらく見つめ、それから「怖かったら、あなたと結婚なんてしなかったわ」と言った。
「そう?僕はずっと、君が僕と結婚すると言い出したのは、衝動的な決断だと思っていたけど。」
三島悠羽は笑みを浮かべながら杉本瑠璃を見つめた。確かに、杉本瑠璃は心の中で、当時は衝動的な発言だったことを認めていた。
しかし表向きには、立場を守らなければならなかった。三島悠羽を失望させるわけにはいかなかった。
それに、正直なところ、この衝動的な決断は悪くなかった。
「たとえ衝動的だったとしても、これは私の人生で最も正しい衝動的な決断だったと信じているわ。」
どうせ三島悠羽には隠せないので、素直に告げることにした。三島悠羽は決して心が脆い人間ではなかった。