第291章 お前らの目を潰してやる!(35)

すると、周りの人々は皆、杉本瑠璃を見つめた。彼らは応急処置の方法を全く知らなかった。

他校の生徒たちは斎藤きくこが何故杉本瑠璃に尋ねたのか分からなかったが、紅葉学園の生徒たちは理解していた。杉本瑠璃が三島グループの三島様の専属医師であることは、公にされていたからだ。

三島様の専属医師を務められるということは、その医術は間違いなく優れているはずだ。

杉本瑠璃は相澤光洋の状態を観察し続け、眉をしかめた。斎藤きくこの言う通りで、たとえ簡単な処置をしたとしても、彼は助からないかもしれない。

ここは遠すぎる。病院に運ぶ途中で、命を落としてしまうだろう。

「大丈夫です。皆さん、散って下さい。ここに集まっていると空気の流れが悪くなります。」まず周りの人々を散らし、少し空間を作った。

そして杉本瑠璃は手首から銀針を一本取り出し、ツボを狙って刺した。すると毒血が流れ出し始めた。

杉本瑠璃は周りの人々を見渡して尋ねた。「誰かマッチを持っていますか?」

すぐに誰かがマッチを差し出した。

杉本瑠璃はマッチを点火し、マッチの頭部で傷口を焼灼して、局所の蛇毒を破壊しようとした。

七本のマッチを使い切った後、さらに指示を出した。「過酸化水素水か過マンガン酸カリウムを持っている人はいますか?」

杉本瑠璃は重いと思って持ってこなかったし、周りの草木を観察したが使える薬草もなかった。そうでなければ、こんなに面倒ではなかったのだが。

「誰か持ってる?誰か持ってない?」水無瀬元宗が皆に尋ねたが、全員が首を振った。誰も持っていなかった。

「塩か石鹸でもいいです。誰か持っていますか?」杉本瑠璃は再び尋ねた。薬液がないなら、原始的な方法しかない。

今度は本当に持っている人がいた。ある女子学生が石鹸を持っていて、すぐに差し出した。

「滝のところへ行って水を汲んできて、石鹸を溶かして石鹸水を作って下さい。皆さん、急いで。蛇毒は早く除去しないと。」

杉本瑠璃は先ほど銀針で毒血の一部を排出したが、まだ残っているものがあり、石鹸水で洗い流して毒血を排出する必要があった。

皆が石鹸水を作っている間、杉本瑠璃は小刀で蛇の牙を取り出し、石鹸水で傷口を洗浄した。徐々に相澤光洋から流れ出る血が赤くなり、毒素が排出されたことを示していた。