第297章 威風堂々(1)

杉本凛は外国人だが、傭兵としての実力と能力は決して侮れないものだった。

すぐに、杉本瑠璃が彼に調べるよう頼んだことの答えが出た。

Y市の内装業界は、田中たけおという男性が独占していた。興味深いことに、この田中たけおは水瀬家とも何らかの関係があった。

田中たけおが日向あきらたちを妨害したのは、完全に水瀬家の理由によるものだった。

水瀬家の水瀬英明と田中たけおは親友で、水瀬英明は水瀬霧乃の兄、ただし従兄弟だった。彼は内部情報を知っていたため、原西開発区の土地を買収しようとしていたが、予想外なことに、現地に着いて土地を買収しようとした時、大部分の土地がすでに売却済みだと分かった。

何度も調査した結果、ついに原西の土地を買った人物が藤原春樹とあずきちゃんだと判明した。

あずきちゃんが日向あきらとビル建設のために異動してきたことで、常に監視していた水瀬英明に発見され、それで田中たけおに連絡してビルの件を遅延させることになった。

水瀬英明は馬鹿ではなく、ビルの方が完成してしまえば、原西開発区の土地を奪うのは難しくなることが分かっていた。

ただし水瀬英明は日向あきらのことしか調べておらず、日向あきらたちが彼女のために働いていることは知らなかった。

これも何かの縁なのか、杉本瑠璃と水瀬家の人々は、また関係を持つことになった。

杉本瑠璃は杉本凛の報告を聞いた後、事の全容をおおよそ推測できた。

水瀬英明は水瀬霧乃の従兄で、水瀬玲奈も水瀬英明の叔母だった。

水瀬家は代々政界に携わっており、水瀬英明は内部情報を耳にして、原西の方で新しい政策が施行される可能性があることを知り、政策が施行される前に土地を買収しようと考えた。

これは絶好の機会で、水瀬家の中で、彼は商売、特に不動産分野で事業を展開していた。

彼の事業は、裏での確実な情報に頼って成り立っており、それによって商界でそれなりの成果を上げ、地位を得ていた。

しかし彼にとって、それだけでは十分ではなく、もっと多くを求めていた!

これまでのものは全て小さな案件で、今回原西開発区の計画を知った時、彼の春が来たと感じた。

喜び勇んで原西の土地を買収しようとした時、誰かに先を越されていたことを知り、それを受け入れることなどできるはずがなかった。