第315章 威風堂々（19）追加分

「これは……まだ確認する時間がなくて、事故が起きた後すぐに患者を運んできたんです。」

日向あきらはその時、人命救助のことしか考えておらず、事故が起きた窓を確認する余裕などなかった。

あずきちゃんは機転が利いて、すぐに言った。「恩人、今すぐ戻って確認してきます。まず電話をして、周辺を保護するように伝えます。あそこには味方が多いので、もし誰かが細工をしていたとしても、今これだけの人がいれば、証拠は破壊されていないはずです。」

あずきちゃんはすぐに電話をかけ、杉本瑠璃に向かってうなずいた。「恩人、ご安心ください。あちらは見張りを付けました。今すぐ戻って確認してきます。」

杉本瑠璃はうなずいた。用心に越したことはない。

もともと杉本瑠璃がこの事件を聞いた時、最初の反応も人命救助だった。

しかし、ここに来て日向あきらから、すでにメディアが押し寄せているという話を聞いた。

ほぼ即座にニュースを得たということは、通常ではありえないことだ。

つまり、誰かが事前に情報を流したか、あるいはこの記者はすでに準備していたということだ。

そうだとすれば、この事故は単なる偶然ではないかもしれない。

「あずきちゃん、窓を重点的に見てきて。もし本当に破損があるなら、人為的な破壊の痕跡がないか注意して確認して。必ずこの分野の権威ある専門家も一緒に連れて行って。」

もしこの事件が人為的なものでないなら、彼女の所で作業員が事故に遭ったのだから、当然放っておくわけにはいかない。

しかし、もし人為的なものであれば……専門家に証言してもらう必要がある。

あずきちゃんは瞬時に杉本瑠璃の意図を理解し、うなずいてすぐに病院を後にした。

日向あきらは杉本瑠璃を見て尋ねた。「蒼、これからどうする？私は、あなたが表に出ない方がいいと思う。もしこれが本当に水瀬英明のしわざなら、あなたが表に出ないほうがいい。今の水瀬英明は、私たちの背後にまだ誰がいるか知らないんだから。」

杉本瑠璃は少し考えてから、「そうね、まずはあなたが対応して。大きな動きは避けましょう。すべてはあずきちゃんからの報告を待ってから決めましょう。治療費と休業補償は私たちが負担します。他に何か要求があっても、無理のない範囲なら一旦受け入れましょう。ただし、一番重要なのは、その作業員の態度を見極めることです。」