第317章 杉本グループ(1)

「恩人様、問題はあの怪我をした作業員にあるようですね。彼の家族の状況を調べてみましょう。このような事は、お金の問題か、家族の問題に違いありませんから」

藤原春樹は今回は随分落ち着いていた。長い間、原西の事を処理してきたため、藤原春樹は大分成長し、以前とは全く別人のようになっていた。

やはり、人には機会が必要なのだ。機会があってこそ、自身の潜在能力を引き出すことができる。

明らかに、藤原春樹はそういうタイプの人間だった。杉本瑠璃が彼にチャンスを与え、彼はそれを掴み、成長したのだ。

杉本瑠璃は頷いて同意したが、藤原春樹には行かせず、あずきちゃんの方を見た。「この件は、あずきちゃんに任せましょう。最初にあずきちゃんと日向あきらがこの人たちを見つけてきたのだから、彼が行った方が都合がいいでしょう」

藤原春樹も反対せず、杉本瑠璃が指示を出した後、あずきちゃんは怪我をした作業員の家族の状況を調べに行き、杉本瑠璃は藤原春樹を連れて病院へ向かった。

病院に着いた時には、もう夜遅くで面会時間が終わりに近かったが、杉本瑠璃はこの病院である程度顔が利き、前回の誘拐事件や藤原春樹の妻子の件で、多くの人が杉本瑠璃を知っていた。

だからこそ、杉本瑠璃は面会時間終了後でも病室に入ることができたのだ。

杉本瑠璃が病室に入った時、怪我をした作業員は眠っていたが、表情は緊張していて、おそらく不安を抱えているため、目を閉じていてもそのような様子だった。

おそらく今日の出来事が多すぎたせいか、杉本瑠璃が入ってきて病床の前の椅子に座った時、この怪我をした従業員は何か感じたかのように、目を開けた。

目を開けた瞬間、杉本瑠璃がそこに座っているのを見て、本当に驚いた様子だった。

「あなたは誰だ?」怪我をした従業員は反射的に体を起こし、後ろに下がりながら、警戒の眼差しを向けた。

「医師の話では、あなたの足は完全に不自由になったわけではないけれど、かなり深刻な状態で、回復が上手くいかなければ、足を引きずることになるかもしれないそうですね」

杉本瑠璃は彼の質問に答えず、むしろギプスをはめた足を見つめていた。

怪我をした従業員も自分の足を見て、目に後悔の色が浮かんだ。

しかし、彼はなおも粘り強く尋ねた。「あなたは一体誰なんだ?なぜ私の病室に来たんだ?私はあなたを知らない」