第326章 杉本グループ(10)

杉本瑠璃のこの一手の表現は、圧倒的な勢いで周りの人々の敬服を勝ち取った。

杉本瑠璃は、再び紅葉学園の生徒たちを震撼させた。

以前は、紅葉学園の生徒たちは意図的に杉本瑠璃を困らせていた。彼らは優越感を持っていたため、杉本瑠璃が特別扱いされることを快く思っていなかったのだ。

しかし今、彼らは杉本瑠璃が見せた魅力を目の当たりにし、心から杉本瑠璃の存在を認めるようになった。

実力があり、才能がある人は、尊敬に値する。

この点について、紅葉学園の生徒たちも納得せざるを得なかった!

以前は杉本瑠璃は個性的なだけだと思っていたが、後になって才能があることを知り、今日彼らは実際に見た。彼女には優れた頭脳もあったのだ!

一目で覚えられるなんて!

おそらくこれは全ての学生が持ちたいスキルだろう。この一目で覚えられるスキルがあれば、学習においては、まるでチートを使っているようなものだ。

水無瀬元宗はすでに杉本瑠璃に驚きのあまり目を丸くしており、同じグループの安藤間でさえ、このような杉本瑠璃を見て、驚きの表情を浮かべた。

同時に、ほぼ一瞬のうちに、安藤間は警戒の目で杉本瑠璃を見つめた。

杉本瑠璃のイメージは非常に良く、これは否定できない事実だった。さらに彼女は山口健太との関係も深いようだ。もし彼女がユニバースメディアに入社したら、自分のトップの座はどうやって守ればいいのだろう?

その瞬間、安藤間は深い圧迫感を感じた。以前は単純に杉本瑠璃が嫌いだっただけだが、今この瞬間、杉本瑠璃が自分にとって脅威だと感じ、心の中で更に杉本瑠璃を嫌うようになった。

水無瀬元宗は以前から杉本瑠璃の記憶力の良さについて少し疑問に思っていたが、実際に杉本瑠璃の実力を目の当たりにした後でも、まだ少し信じがたい思いだった。

このシナリオは、杉本瑠璃が以前に触れることは絶対になかったはずだ。これは彼が現在携わっている作品のシナリオで、しかも彼がランダムに取り出したものだった。

だから水無瀬元宗は確信できた。杉本瑠璃は以前にこのシナリオを見たことがないはずで、当然事前に暗記していたわけではない。

たった今、彼が杉本瑠璃にシナリオを渡した時、杉本瑠璃は少しの間見ただけで、それを暗記したのだ。