桐生誠一は急いで人を探しに行った。この場所は広く、人も多く、少し暗かったため、人を探すのは簡単ではなかった。
杉本瑠璃は二階を見上げた。斎藤きくこが連れて行かれてからずいぶん時間が経っており、何か問題が起きていないか心配だった。
一方、鈴木てんいちを見つけるのはいつになるかわからないため、自分で何とかして上に行くしかなかった。
入り口を守る二人を見て、杉本瑠璃は心を読んだ後、言葉を失った。
数言葉を交わした後、二人の門番は杉本瑠璃を上から下まで見た後、上がることを許可した。
何を言ったのか?
杉本瑠璃は本当に思い出したくなかった。
彼女はこの二人の心の中から、あのチンピラが斎藤きくこを捕まえたのは、ボスに取り入るためだということを読み取った。だから……
杉本瑠璃は非常に厚かましく、彼らにあの女の子と一緒に来て、二人でいわゆるボスの相手をすると告げた。
この言葉を聞くと、二人の門番はすぐに杉本瑠璃に道を譲った。彼らが見たところ、杉本瑠璃は先ほどの子よりも綺麗で、しかも二人で一緒にというのは、より刺激的だと思ったのだ。
加えて、杉本瑠璃はただの若い女の子で、年も若く、脅威とはならないと判断し、上がることを許可した。
杉本瑠璃は二階に上がり、心の中で呆れていた。
しかし、そんなことは気にしていられない。まずは人を救うことが先決だ。今はほぼ確実に、斎藤きくこが強制的に連れて来られたことがわかっている。
二階のデザインは非常に良く、耳をつんざくような音楽がなければ、ここがナイトクラブだとは信じがたいほどだった。
すぐに、杉本瑠璃は声を聞いた。その声の方向に急いで走って行くと、廊下の曲がり角で、斎藤きくこが後ろ手に押さえつけられ、髪が乱れているのを見た。
そして斎藤きくこの傍らには、二人の男が腕を押さえ、痛みで地面を転げ回っていた。
「お嬢ちゃん、意外と機敏じゃないか。もう少しで逃げられるところだったな!へへ、メクラさんを甘く見すぎだぜ。お前を逃がしたら、俺様はこの界隈で顔が立たねえ!」
背が低く、少し太めの男が、片目に眼帯をして、まるで海賊のような格好をしていた。
斎藤きくこは彼に捕まれたまま、背中を向けられていたが、それでも従順な態度は見せなかった。「離して!私は友達と一緒に来たの。友達が必ず探しに来るわ!」