「何を話してるの?」
高橋智樹が話を言い終わる前に、いつの間にか鈴木てんいちが戻ってきて、杉本瑠璃と高橋智樹の間にドカッと座った。
高橋智樹は無表情で鈴木てんいちを一瞥し、顔がさらに暗くなった。
今度は、もう何も言わなかった。
杉本瑠璃は鈴木てんいちの上着が脱がれているのを見て、額に少し汗をかいているのを見た。きっと楽しく踊っていたのだろう。
「どうして一人で戻ってきたの?きくちゃんは?」杉本瑠璃は見回したが、斎藤きくこの姿が見当たらなかった。
「きくちゃん?へへ、彼女は楽しそうに中で踊り続けてるよ。僕はちょっと疲れたから、戻って飲み物でも飲もうと思って」
鈴木てんいちは話しながら、ビールを取って数口飲んだ。
杉本瑠璃は眉をしかめながらダンスフロアの方を見たが、人が多すぎて照明も暗かったため、斎藤きくこの姿は見えなかった。