第338章 杉本グループ(22)

「何を話してるの?」

高橋智樹が話を言い終わる前に、いつの間にか鈴木てんいちが戻ってきて、杉本瑠璃と高橋智樹の間にドカッと座った。

高橋智樹は無表情で鈴木てんいちを一瞥し、顔がさらに暗くなった。

今度は、もう何も言わなかった。

杉本瑠璃は鈴木てんいちの上着が脱がれているのを見て、額に少し汗をかいているのを見た。きっと楽しく踊っていたのだろう。

「どうして一人で戻ってきたの?きくちゃんは?」杉本瑠璃は見回したが、斎藤きくこの姿が見当たらなかった。

「きくちゃん?へへ、彼女は楽しそうに中で踊り続けてるよ。僕はちょっと疲れたから、戻って飲み物でも飲もうと思って」

鈴木てんいちは話しながら、ビールを取って数口飲んだ。

杉本瑠璃は眉をしかめながらダンスフロアの方を見たが、人が多すぎて照明も暗かったため、斎藤きくこの姿は見えなかった。

杉本瑠璃が心配したのは、多くの人の心を読んで、鈴木てんいちのテーブルの人々と話をしようとする機会を探している人がいることを知ったからだ。

鈴木てんいちと斎藤きくこが一緒に踊りに行くのは、杉本瑠璃も安心していた。結局、鈴木てんいちは常連で、分別があるからだ。

しかし今、斎藤きくこが一人でダンスフロアにいると思うと、杉本瑠璃は少し心配になった。

今日、斎藤きくこもかなりお酒を飲んでいて、それに気分も高揚していて、さらにあんなに多くの人が虎視眈々と狙っているのだから、誰かに悪さをされないか心配だった。

「あなたも心配ないの?ナンパされないか心配じゃないの?」杉本瑠璃はこのような場所に来たことはなかったが、基本的な常識は知っていた。

女の子が一人で踊っていれば、必ずナンパされるものだ。

「あの子はあんなに強いんだから、どの男がきくちゃんに近づく勇気があるんだよ!わかったわかった、見に行ってくるよ」

鈴木てんいちは斎藤きくこが強いと言いながらも、行動は素直で、すぐにステージの方へ向かった。

しかし行ってすぐ、高橋智樹がちょうど先ほどの話題を続けようとした時、鈴木てんいちがまた戻ってきた。

高橋智樹は鈴木てんいちを見る目に怒りの色が混じっていたが、鈴木てんいちは今や高橋智樹の怒りなど気にする余裕はなかった。

「どうしたの?」杉本瑠璃は鈴木てんいちの表情がおかしいのを見て、急いで尋ねた。