数人の仲間たちが集まり、飲み食いしながらはしゃぎ合う、この雰囲気を杉本瑠璃はとても気に入っていた。
食事が終わると、当然斎藤きくこが支払いをした。みんなもよく分かっていて、誰も会計を争うことはなかった。
夕食後、鈴木てんいちが提案した。みんなで一緒にナイトクラブに行って少し座らないかと。
桐生誠一、斎藤きくこ、杉本瑠璃の三人は、そのような場所に行ったことがなかったが、鈴木てんいちにそう言われると、少し心が動いた。
最終的に鈴木てんいちの誘いに乗って、一行はY市の繁華街へと向かった。
バーには静かなバーと賑やかなバーがあったが、鈴木てんいちがいるので、当然賑やかな方に行くことになった。
鈴木てんいちは手慣れた様子で皆を連れてバーを探し、杉本瑠璃は少し興奮していた。これが彼女にとって初めてのバー体験だった。
斎藤きくこと桐生誠一も同様で、少し緊張しながらも非常に興奮した様子だった。
鈴木てんいちはここでよく遊んでいるようで、入るとすぐに案内人が現れ、とても良い席に案内された。後で分かったことだが、その席は鈴木てんいちが予約していたものだった。
つまり...紅葉学園の生徒を侮ってはいけない。普通に見えても、一人一人が並外れた人物なのだ。
正直なところ、杉本瑠璃は鈴木てんいちや風間海斗たちと親しくなっていたが、このような遊びに来たことはなく、彼らがこれほど派手に金を使うことも知らなかった。
「鈴木様、このお席はずっとお取り置きしておりました。満席の時でも、お客様のお席は誰にも使わせておりません。本日は何をお飲みになりますか?前回お預かりしたお酒もまだございますが、お出ししましょうか?」
席に着くなり、ウェイターは非常に熱心に声をかけてきた。
鈴木てんいちも気前が良く、すぐに数枚の千円札を取り出してウェイターに渡し、「預かっている酒を全部出して、それとフルーツプレートやおつまみも、あるものを全部用意して」と言った。
ウェイターは千円札を見て目を輝かせ、手で触れてみると、おそらく八千円から一万円ほどあることが分かった。
つまり、鈴木様に良いサービスを提供すれば、チップを稼ぐのは間違いなく早い。
ここには大きなチップを出す客も少なくないが、鈴木様のように一度に八千円から一万円も出す人は本当に珍しい。